ビットコイン・マイニングとは何か?
ビットコイン・マイニングは、ビットコイン・システムを支え、機能させ、成長させる柱となるものです。ビットコイン・マイニングとは、信頼できる第三者を必要とせずにビットコインの取引を検証し、ブロックチェーン台帳に追加するプロセスです。この仕組みは「分散型プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」と呼ばれるガバナンス・メカニズムに基づいており、ネットワークの成長、安全性、分散化を促進し、参加者にインセンティブを与えるよう設計されています。
ビットコインの発行が「マイニング(採掘)」と呼ばれるのは、地下や洞窟を掘るわけではありませんが、金(ゴールド)やその他の鉱物の採掘を連想させるからです。簡単に言えば、新しいビットコインを流通させるプロセスであり、新しい取引をビットコインのタイムチェーン(「ブロックチェーン」とも呼ばれる)に追加する仕組みです。
この一見シンプルなプロセスは、厳格なビットコイン・プロトコルとガバナンスに従う強力な計算システムによって可能となっています。その結果、今日私たちが知るような、堅牢で分散化され、革新的な金融システムが生まれました。
本記事では、マイニングの技術的および経済的な構造がどのように機能しているのかを説明するとともに、マイニングのエネルギー消費に関する誤解を正確なデータと論理的な説明を用いて解明していきます。
取引詐欺を防ぐ仕組み
ビットコイン・マイニングは、新しいブロックを作成し、定められたルールに従って台帳に追加するプロセスです。ネットワークの参加ノード(コンピュータ)は、暗号学的なアドレスで識別されたユーザーがビットコインの正当な所有者であることに合意しなければなりません。
マイナー(採掘者)は、従来の決済システムでは銀行やその他の金融機関といった信頼できる仲介者が担う役割を、ビットコイン・ネットワーク上で果たします。
信頼できる第三者に依存しないために、ビットコインでは資金の二重支出や所有者以外による不正使用を防ぐ必要があります。
1970年代に開発された暗号技術「デジタル署名」を活用することで、不正なユーザーが他人の資産を勝手に使用することを防ぐことができます。秘密鍵と公開鍵のペアによる所有権の証明により、秘密鍵を持つ本人だけがビットコインを送金または移動できる仕組みです。
しかし、デジタル署名だけでは、受け取ったビットコインが他の場所で二重に使われていないことを保証することはできません(ダブルスペンディング問題)。
この問題を解決するために、サトシ・ナカモトはアダム・バック(Adam Back)のハッシュベースのPoWを採用。取引を時系列順にブロックへと整理し、「最長のチェーン」を追求する仕組みに基づいて、ネットワークが台帳の最新状態に関して合意を形成できるようにしました。
この仕組みにより、悪意のある攻撃者は過去のすべてのブロックのPoWをやり直さない限り、取引を改ざんすることはできません。さらに、新しいブロックが絶えず追加されるため、攻撃者が追いつくことは事実上不可能となっています。
ビットコイン・マイニングの仕組み
マイニングには膨大な計算能力を要する作業が伴います。これは、データセンターのようなシステムを利用することで実現されます。マイナーは、専用のアプリケーション・スペシフィック・インテグレーテッド・サーキット(ASIC)コンピュータを使用して計算能力を確保し、競争しながら次のブロックをブロックチェーンに追加し、新しいビットコインを発行します。この仕組みにより、暗号通貨ネットワークの信頼性が維持されます。
マイニングは、十分な計算能力がブロックに費やされた後にのみ取引が確認されることで、信頼性を確立します。ブロックチェーン上に生成されるブロックの数が増えれば増えるほど、ネットワークの信頼性も高まります。
マイナーは可変数の取引をブロックにまとめて追加します。ブロックに含まれる取引数はデータのサイズに依存するため、ひとつのブロックに1件の取引しか含まれないこともあれば、数千件の取引が含まれることもあります。また、新しく発行されるビットコインの量は固定されており、4年ごとに発生する「ハルビング(半減期)」によって徐々に減少します。
なぜ、ビットコインをマイニングするのか?
金やその他の鉱物を採掘し流通させるには多大な労力が必要ですが、ビットコインの発行にも膨大な計算作業が求められます。これは、ネットワークの安全性を確保するために不可欠なステップなのです。
ビットコインはタイムチェーン上のデジタルデータであり、コピーや偽造、二重支出の危険に晒されています。ビットコイン・マイニングを行なう際の計算作業には莫大なコストと資源が必要であるため、悪意のある攻撃者がそれらのリソースを不正行為に使うよりも、正当にマイニングを行なうほうが合理的なインセンティブとなります。
また、マイニングはビットコインを発行するために必要なプロセスです。仮にマイニングが停止しても、すでに流通しているビットコインは引き続き使用可能であり、ネットワークも機能し続けます。しかし、マイナーへの金銭的報酬がなければ、システムは未完成のままとなってしまいます。
ビットコイン・マイニング略史
ビットコインは、何万ものノードからなるピアツーピア・ネットワークによって機能しており、これにはマイニング・ノードとユーザー・ノードが含まれます。これらのノードは、中央管理機関なしに年間数兆ドルもの送金を処理する決済ネットワークの基盤となっています。
サトシ・ナカモトが2009年にビットコインを立ち上げた当初は、ビットコイン・ノードを運用することとマイニングを行なうことに大きな違いはありませんでした。そのため、多くのユーザーが自分のコンピュータでノードを実行しながらビットコインをマイニングすることができ、これらの行為はほぼ同義とされていました。
当初、ビットコイン・マイニングはDIYのようなものであり、現在のような大規模な産業とは程遠いものでした。しかし、ビットコインの価格が上昇し、マイニングのインセンティブが高まるにつれて、マイニング産業は急成長を遂げました。
ビットコインと他の多くの暗号通貨とのもっとも大きな違いのひとつは、プロジェクト以前に発行(プレマイン)されたビットコインが存在しないことです。実際、サトシはネットワークを立ち上げる前にビットコインをマイニングせず、誰もが公平に参加できる状態をつくりました。
ネットワークが2009年1月3日に稼働すると、サトシは最初のブロック(「ジェネシス・ブロック」または「ブロック 0」)をマイニングしました。このブロックには50ビットコインが含まれていました。当時、サトシはビットコイン・ネットワーク上で唯一のマイナーであり、一般的なパーソナルコンピュータを使ってブロックを生成していました。
CPUからGPUへ
ビットコイン・ネットワークのハードウェアはわずか10年で急速に進化しました。新しいビットコインを生成し、ブロックチェーンに取引を追加するために必要なマイニング機器は、ネットワークの成功において重要な役割を果たします。なぜなら、マイニングの収益性を左右する要因だからです。
ビットコインの初期、ノード運用者とマイナーは同じようなハードウェアを使っていました。それは中央処理装置(CPU)と呼ばれるものです。最初のブロックである「ジェネシス・ブロック」も、ほぼ確実にCPUを使ってマイニングされたと考えられています。
CPUはコンピュータのコマンド処理と実行を制御するもので、ビットコインの初期段階ではマイニング競争がほとんどなかったため、CPUの小さな計算能力でもブロックを簡単に作成し報酬を得ることができました。

しかし、2011年にビットコインの価値が1ドル、次いで30ドルに達すると、マイニング競争が激化し、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)が採用されるようになりました。GPUはもともとゲーム用に開発されたもので、多くの計算を並列で高速に処理することができるため、CPUよりもマイニングに適していました。
GPUからASICへ
2012年には、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)が登場しました。これは、高速なプログラム可能プロセッサと専用ASICの中間的な存在です。しかし、最終的にASICが登場し、現在に至るまでビットコイン・マイニングを支配しています。
アプリケーション・スペシフィック・インテグレーテッド・サーキット(ASIC)は2013年に登場しました。特定の用途のために設計された集積回路であり、ビットコインではSHA-256ハッシュ計算を専用に行なうために設計されています。ASICはGPUよりも桁違いに高速で、今日ではASICマイニングが経済的に実行可能な唯一のビットコイン・マイニング技術となっています。
マイニングのプロセス
マイニングは、以下の手順を繰り返すことで実行されます。
- ピアツーピア・ネットワーク上で送信された取引をピックアップし、ブロックにまとめる。
- ブロックチェーン内のもっとも長い経路上にある最新のブロックを選び、そのヘッダーのハッシュを新しいブロックに挿入する。
- 新しいブロックのPoW問題を解決しながら、他のノードからの新しいブロックを監視する。
- PoWの問題解決が成功すると、新しいブロックをブロックチェーンに追加し、ピアツーピア・ネットワークへブロードキャストする。

プルーフ・オブ・ワーク(PoW)の仕組み
PoWはビットコイン・ネットワークの中核を成す要素です。PoWがなければ、ネットワークの各参加者がブロックチェーンを自分に有利なように改ざんすることが可能になってしまいます。ビットコインには中央管理機関が存在しないため、PoWがネットワークの信頼性を保証する唯一の仕組みなのです。
PoWの目的はふたつあります。
- すべてのネットワーク参加者が、同じブロックチェーンのコピーを共有することを保証する。
- 中央機関の介在なしに、資金が二重に支払われないことを保証する。
ビットコインのPoWアルゴリズムは、「ハッシュ関数」と呼ばれる数学的変換を利用します。ハッシュ関数は、データの文字列を一定の長さの数値(ハッシュ)に変換するものです。データのほんのわずかな変更(例えば、コンマひとつの違い)があっただけでも、ハッシュは完全に異なるものになります。
ビットコインはSHA-256を使用しています。このアルゴリズムは2001年に米国国家安全保障局(NSA)によって開発され、極めて高い安全性をもっています。
マイナーは通常、以下の手順を継続的に繰り返すことで、条件を満たす有効なブロックを見つけるまで計算を行ないます。
- ブロックヘッダー内に含まれる「ナンス」と呼ばれる任意の数値を1増やす。
- その結果得られるブロックヘッダーのハッシュ値を計算する。
- そのハッシュ値を数値として表したときに、あらかじめ定められた目標値(ターゲット値)よりも小さいかどうかを確認する。
もしブロックヘッダーのハッシュ値が目標値未満でなければ、そのブロックはネットワークによって拒否されます。十分に小さいハッシュ値をもつブロックを見つけることが、PoW問題なのです。
難易度調整機能
ビットコインの難易度調整と報酬の半減は、ビットコインの供給システムの基盤を成す重要な要素です。ビットコイン・ネットワークは、平均して10分ごとにひとつのブロックを生成するよう設計されています。サトシ・ナカモトは、確認時間の速さと、チェーンの分岐や無効ブロックによるリスクとのバランスを考慮し、この時間を選択しました。
この目標を維持するために、一定の間隔でブロックのハッシュ目標値が調整される、難易度調整という仕組みが用いられています。マイナーが増え、ブロック生成の速度が速くなりすぎると、マイニングの難易度が上昇し、それによってブロック生成のペースが元の10分間隔に戻るよう調整されます。
実際には、2016ブロックごと(約2週間ごと)に、ビットコイン・ノードが前回の2016ブロックのマイニングにかかった時間を計算し、それに基づいて新しい難易度を決定します。
ビットコインの最初のブロックである「ジェネシス・ブロック」の難易度は1でした。つまり、このブロックはほぼ瞬時にマイニングされたと考えられます。しかし、現在のブロックの難易度は30兆を超えており、もっとも高度なASICマイニング機器でも、有効なブロックを見つけるために平均して30兆回のハッシュ計算を行なう必要があります。
ブロック報酬
PoWの問題を解決するには大量の計算能力が必要となり、そのために多額のコストが発生します。参加者であるマイナーがコストと資源をマイニングに投じるよう促すために、ビットコインではひとつのブロックのマイニングに成功するごとに、ふたつの報酬が用意されています。ブロック報酬(補助金)と取引手数料です。
ビットコインのアルゴリズムに基づき、ブロック報酬は21万ブロックごと(約4年ごと)に半減(ハルビング)する仕組みとなっています。現在のブロック報酬は3.125BTCですが、次の半減期が到来すると1.5625BTCに減少します。
ブロック報酬の半減は、ビットコインの供給を中長期的に安定させながら、最終的に発行上限である2100万BTCに到達するまでの計画的な発行プロセスを確立するためのものです。この上限に達するのは、2140年頃と推定されています。
ビットコインが「世界でもっとも堅牢な資産」と呼ばれるのは、この供給上限がプログラム的に確定しているからです。金の供給量は1900年以降、年1~2%のペースで増加しており、その増減を正確に予測することは困難です。しかし、ビットコインは人間の意思によらず確実に供給が制限されているという点で、他の資産と一線を画しています。
最終的に2140年頃に2100万BTCが発行され尽くすと、ブロック報酬は完全になくなります。その後は、マイニングの報酬はブロック報酬ではなく、ビットコインユーザーが支払う取引手数料のみとなります。そのため、ビットコイン・ネットワークの持続性は、取引手数料のインセンティブに依存することになります。
ビットコイン・マイニングの始め方
ビットコイン・マイニングに参加する方法は、大きく分けてふたつあります。自宅でマイニングを行なうか、専門企業にマイニングを委託するかです。どちらの方法にも利点と欠点があるため、いずれを選択するにせよ、ビットコイン・マイニングの仕組みをできる限り深くしっかりと理解することが重要です。
現在のビットコイン・マイニングは、資金力のある企業が大規模な倉庫で大量の機器を稼働させる形態が主流となっています。しかし、個人でも十分な知識と設備を整えれば、自宅でマイニングを行なうことは可能です。とはいえ、マイニングは専門的な作業であり、自宅でマイニングを行なうには次の要件が求められます。十分な知識、高性能なASICマイニング機器、適切な冷却システム、安価で安定した電力供給、信頼性の高いインターネット環境。
そのため、自宅でのマイニングを始める前には利点と欠点の両方を十分に検討し、コスト負担の大きい失敗を避けるようにしてください。
これらの要件を満たせる場合、KYC(本人確認)不要で自宅マイニングを行なうことができるというメリットがあります。ご存じの通り、マイニングは大量の電力を必要とし、その結果として大量の余剰熱が発生します。この熱は家庭の暖房に利用することもできるため、うまく活用できればエネルギーの有効利用になります。
📖 続きはこちら >> 自宅でビットコインをマイニングするためのガイド
自宅でのビットコイン・マイニングを検討する際には、ソロマイニング(単独)もしくはプールマイニング(共同)、ふたつの方法から選ぶことになります。
ソロマイニング
ソロマイニング(Solo mining)またはDIYマイニングとは、参加者が自分専用のハードウェアを使って、マイニングプールに参加せずに単独でブロックを探すことを指します。計算能力や資源をもち寄ってビットコインを採掘するプールマイナーとは対照的に、ソロマイナーは完全に自立しており、ほかの誰にも頼らずにマイニングを行ないます。
ソロマイナーは、自分自身でブロックを見つけたときにのみ報酬を受け取ることができます。報酬には、ブロック報酬全額とブロック内のすべての取引手数料が含まれます。しかし現在、この報酬を得るのは非常に困難であり、確率的には圧倒的に不利な状況にあります。
このタイプのマイニングが効率的だったのは、マイニング難易度の閾値がまだ低く、新しいブロックを比較的容易に見つけることができた時代に限られます。しかし、近年でいうと2022年1月、あるソロマイナーがわずか120TH(テラハッシュ)の計算力で奇跡的にブロックを発見、当時のビットコイン価格で約26万5000ドル相当を獲得したというニュースが話題になりました。
今日では、ソロマイニングでビットコインをマイニングするのは、ほとんどの場合、採算が取れないと考えられています。なぜなら、ブロック報酬を得るのはほぼ不可能に近いからです。それでも、例えばASICマシンの排熱を家庭の暖房に活用することで日々の経費を節約できるなど、副次的なメリットはあります。さらに、KYC不要でビットコインに関与する方法としてはソロマイニングがもっとも適しているともいえます。
もしあなたがソロマイナーとしての環境を整えており、あまりうまくいっていないと感じる場合は、マイニングプールへの参加を検討してみるのもひとつの方法です。
プールマイニング
プールマイニング(Pooled mining)とは、個人マイナーたちがハッシュパワーを結集し、まるでひとつの巨大マイナーのようにマイニングを行なう方法です。
マイニングプールとは第三者によって組織・運営される分散型グループで、世界中のマイナーからハッシュパワーを集め、ブロックが見つかった場合に得られたビットコインをプールに提供されたハッシュパワーの割合に応じて分配します。プールマイナーは、将来の一攫千金に賭けるのではなく、比較的安定した収入を得ることができます。
ビットコインのマイニングプールを選ぶのは、マイナーにとって難しい場合があります。というのも、多くの選択肢があり、価格体系も歴史的に不透明なことが多かったからです。マイニングプールを選ぶ際のアドバイスは、複数の選択肢を試し、自分自身でテストしてみることです。
世界最大級のマイニングプールの一部を以下に挙げておきます。
- Luxor(ラクサー)
- Foundry(ファウンドリー)
- Braiins Pool(ブレインズプール)
- Poolin(プーリン)
- Mara Pool(マラプール)
- F2Pool(エフツープール)
📖 続きはこちら >> プールマイニングのガイド
ビットコインを使ったマイニング
大規模なビットコイン・マイニング事業は、一般的にもっとも成功しており、かつ利益を上げています。自宅での小規模なマイニング設備では、これらの高度な事業者には到底太刀打ちできません。こうした企業は家庭用マイナーに比べてはるかに多くの資源を利用できるため、ビットコイン・マイニングに特化したこれら専門企業に投資する、またはハッシュパワーを購入することを検討してみるのもよいでしょう。
通常、企業とともにマイニングを行なうには3つの選択肢があります。
- 企業からマイニング機器を購入し、施設にホスティングしてもらう。
- 企業が保有するハッシュパワーの一部を購入する。
- その企業に投資する。
ただし、トレードオフもあります。KYC情報の提供が必要となる場合が多く、サービス手数料も課されるでしょう。さらに、その企業の経営方針に対しては何のコントロールもできず、企業の意思決定が不適切だった場合には、投資リスクにさらされる可能性があります。したがって、マイニング企業への投資を検討する前に、選択肢を慎重に比較し、リサーチを行なうことが必要です。
著名なマイニング企業は以下の通りです。
- Iris Energy:再生可能エネルギーによって稼働するデータセンターインフラなどの実資産を所有・運営する、持続可能なビットコイン・マイナー。カナダのブリティッシュコロンビア州に拠点を置く。
- Core Scientific:最大のハッシュレート(合計コンピューティングパワー)を誇るビットコイン・マイナー。テキサス州、ジョージア州、ノースカロライナ州、ケンタッキー州、ノースダコタ州に拠点をもつ。
- Riot Blockchain:テキサス州とケンタッキー州でプラントを運営している、北米最大級の米国上場ビットコイン・マイナーのひとつ。
- Blockstream:世界中の機関や投資家にエンタープライズクラスのビットコイン・マイニングサービスを提供。共同創業者のひとりである暗号学者アダム・バックは、ビットコインの誕生にとって重要な先行研究を行なった人物。
- Hut 8 Mining:北米最大級かつもっとも革新的なデジタル資産マイナーのひとつであり、自己マイニングによって保有するビットコイン量では世界最大級の上場企業。2025年3月、エリック・トランプらが関与するAmerican Data Centersとの合弁会社「American Bitcoin」を設立。
よくある質問(FAQ)
ビットコイン・マイニングは合法ですか?
ビットコイン・マイニングは世界のほとんどの法域で合法です。ただし、ビットコイン・マイニングは大量の電力を消費することから、いくつかの国ではマイニングが禁止されています。場合によっては、暗号資産が政府や現地通貨の管理に対する脅威とみなされることもあります。
マイニングが全面禁止の国、特定の制限や禁止措置のある国には、アルジェリア、ネパール、ロシア、ボリビア、エジプト、モロッコ、パキスタン、中国、ドミニカ共和国、北マケドニア、カタール、ベトナムが含まれます。
ビットコイン・マイニングには課税されますか?
ビットコイン・マイニングは通常のビジネスとみなされるため、所得として課税されます。一般的なルールとして、採掘したビットコインが後に価値を上げて売却された場合には、キャピタルゲイン税も支払う必要があります。
ビットコイン・マイニングは利益になりますか?
ビットコイン・マイニングは一般的に利益が出ますが、その報酬は電気代、ASICマイニング機器の価格、冷却費用など、複数のコスト要因に大きく左右されます。また、ビットコイン価格が下落すると、マイナーの利益率が低下する可能性もあります。
マイナーの収入はいくらですか?
ドル換算で、マイナーは得たビットコインの量に現在の価格を掛けた額を獲得します。ブロック報酬に基づく計算です。例えば、ビットコインの平均価格が8万ドルで、ブロック報酬が3.125ビットコインであれば、2025年にはマイナーは1ブロックあたり25万ドルを得ることになります。
ビットコイン・マイニングの難易度は?
ビットコイン・マイニングは、ますます困難になっています。ビットコイン誕生時点ではマイニングの難易度は「1」でしたが、現在の難易度は「約30兆」です。これは、競争力を維持するためには、ASICマイニング機器が平均して30兆回以上のハッシュ演算を行なってようやく有効なブロックを見つける必要があることを意味します。
1ビットコインの採掘には、どれくらいの時間がかかりますか?
平均して1ビットコインを採掘するには約10分かかります。しかし、現在では1ビットコインが採掘されると同時に、さらに2.125BTCも採掘されます。これは、ビットコインが新しいブロックとしてブロックチェーンに正常に追加された際に、3.125BTCが生成されるためです。このプロセスには平均10分かかります。ただし、実際に1ビットコインに近い量を採掘できるのは、2028年頃に達するブロック番号1,050,000のタイミングかもしれません。その時点では、ブロック報酬は約1.56BTCになると予想されています。それでも、そのブロックを採掘するのにかかる時間は平均して10分です。
よくある誤解
その1
「ビットコインは汚れて再生不能なエネルギーを使っている」
実際のところ、ビットコイン・マイニングは送電網の制約に基づく従来のエネルギー供給の概念に挑戦し、電力市場の新たな可能性を業界にもたらしています。この新たな機会は、世界中の再生可能エネルギーの可能性を顕在化させ、脱炭素の電力生産を実現するためのインセンティブを生み出しています。
ビットコイン・マイニングは近いうちに、豊富でクリーンな未来のエネルギーをもたらす鍵となるでしょう。ここでは、その仕組みと理由を考察します。
太陽光と風力発電の容量は本論の中核となります。というのも、ビットコインネットワークがこうした再生可能エネルギーの主要な電力購入者として機能することで、クリーンなエネルギー生産や蓄電へ向けた世界的な移行を促進する役割を果たすからです。
ビットコイン・マイナーは、競争力を維持しつつ利益を確保するために、電気料金が安い場所に拠点を構える傾向があります。太陽光と風力エネルギーのコストはますます手頃になっており、マイナーたちはこれらの再生可能エネルギーを積極的に活用しようとします。
現在では、太陽光および風力エネルギーのコストは化石燃料よりも安くなっています。実際、太陽光は1キロワット時あたり3~4セント、風力は2~5セントであるのに対して、石炭や天然ガスといった化石燃料は約5~7セントかかります。
しかし、太陽光や風力エネルギーには、天然ガスや原子力と比べて出力の不安定さ(断続性)という大きな欠点があります。太陽は昼間にしか照らず、風は予測不能に吹くため、その電力供給量は極端に多いか、あるいはほとんどゼロかという状況が生じえます。
ビットコイン・マイニングは、この断続性を克服するための送電能力およびエネルギー貯蔵能力を増強する、実行可能な技術的解決策なのです。脱炭素の電力生産への道筋はすでに築かれており、新たなマイニング施設は自然資源が豊富に存在する地域に次々と開かれています。
例えば、アメリカのテキサス州西部では風力と太陽光エネルギーが余剰状態となっており、そこに注目したビットコイン・マイナーたちが巨大な機会を活用すべくこの地域に殺到しています。
水力発電もまた、ビットコイン・マイナーが活用する基本的な自然資源のひとつです。例えばノルウェーでは国内電力の100%が再生可能エネルギーによって賄われており、マイナーにとっては、電気料金が割安で、機器冷却に最適な気候環境が整った、理想的な地域となっています。
その2
「ビットコインはエネルギーを無駄にしている」
ケンブリッジ代替金融センター(CCAF)によると、ビットコインは年間で約87テラワット時の電力を消費しており、これは世界の電力生産の約0.55%に相当します。つまり、マレーシアやスウェーデンのような小規模国家の年間電力消費量と同等です。
これはビットコイン批判者にとって警鐘のように思えるかもしれませんが、真に注目すべきは消費量ではなく炭素排出量なのです。この違いは非常に重要です。というのも、仮にビットコインが世界中の電力を消費したとしても、それが100%再生可能エネルギー由来であれば、炭素排出への影響はほとんど無視できるからです。
ビットコインの電力消費量を見積もるのは比較的簡単で、ある一定期間におけるハッシュレートを参照すれば大まかな値を割り出すことができます。
一方で、ビットコイン・マイニングによる炭素排出量を特定することは主要な課題であり、いくつかの要因によって、利用されているエネルギーミックスが正確にわからない限り、この作業は非常に困難になります。
さまざまな理由から、マイナーたちはマイニングデータの提供に消極的です。また、ビットコインノードの匿名性のため、世界のある地域にマイナーが存在しているかどうかすら把握できないこともしばしばです。仮にマイナーの存在が確認されても、地域のエネルギー資源に基づいて炭素排出の影響を推測するしかありません。
こうしたデータの不正確さから、ビットコイン・マイニングにおける再生可能エネルギーの使用割合の推定値は大きくバラつく可能性があります。
ビットコイン・マイニング評議会(Bitcoin Mining Council)は、2022年第2四半期における世界のマイニング業界の持続可能な電力ミックスを59.5%と推定しており、2021年第2四半期から2022年第2四半期にかけて約6%増加したと報告しています。
また、CoinSharesが2019年に発表したレポートでは、ビットコインのエネルギー消費の73%がカーボンニュートラルであると示されており、中国南西部やスカンジナビアといった主要なマイニング拠点に水力発電が豊富に存在していることが主な要因とされています。
しかし、2020年にCCAFが発表した推定値ではその数字は約39%にしか過ぎないとされており、単にエネルギー消費量をみるだけでは、ビットコインの炭素排出量を正確に測る信頼性のある方法とはいえないことが示唆されています。
この議論において有益なのは、ビットコインのマイニングがエネルギーを使用するに値する行為かどうかという視点です。ビットコインが象徴する代替的な通貨システムに対して、どの程度の価値を認めるのか。この問いかけは、大きく、ときに激しく意見が分かれる議論の扉を開くものです。
その3
「ビットコインは1件の取引でVisaよりも多くのエネルギーを消費する」
すでに述べた通り、ビットコインのマイニングや利用に使われるエネルギーの仕組みと、実際にビットコインがどのように電力を消費しているかという点には明確な違いがあります。その点を考慮することは重要です。
ビットコインを批判する人々の多くは、「ビットコインは他の決済システムに比べて、1件あたりの取引で消費するエネルギーが非常に多い」と指摘することがあります。
実際には、彼らはその仕組みを理解していません。これは、ビットコインを攻撃するためのひとつの手段にすぎません。
ビットコインのエネルギー消費の大半はマイニングの過程で発生しており、いったんビットコインが発行されてしまえば、その後の取引の検証に必要なエネルギーはごくわずかです。
多くの人は、これまでのビットコインの総エネルギー消費量を取引件数で割って計算します。しかし、その手法では正確な視点は得られません。というのも、消費されたエネルギーのほとんどはビットコインを採掘するために使われたものであり、取引処理のために使われたものではないからです。
もう一歩踏み込んで言うならば、ビットコインは「信頼できる第三者を必要としない最終的な“現金”決済レイヤーである」と主張することもできます。PayPalやVisaのような一般的な決済ネットワークは、銀行間の即時かつ不可逆的な決済を提供していません。
あらゆる従来型の小売決済システムは複雑で多層的な構造に基づいており、最終的な決済が完了するまでに6カ月かかることもあります。この長い期間中に、どれだけのエネルギーが無駄にされているのでしょうか? こうした理由から、ビットコインと従来の決済ネットワークを単純に比較することは妥当とはいえません。
ビットコイン・マイニングを「環境破壊の元凶」から「CO₂排出削減に役立つ手段」へと転換させる機会は、リアルなものであり、すでに私たちの目前で進行中です。
現在も新たな方策や自然資源の活用は継続的に模索されています。例えば海洋エネルギーの活用により、世界中で最大10億人の人々に2~8テラワットのクリーン電力を持続的に提供できる可能性が広がっています。


