ニューハンプシャー州が計画する、支持者が「世界初」と呼ぶビットコイン担保地方債の発行が、米国水曜に州の行政評議会にかけられる。1億ドル規模の本案件が前進するために残された最後の承認となる。米紙ボストン・グローブが米国火曜に報じた。
この取り組みを「歴史的」と評してきたケリー・アヨット知事と5人の評議員からなる同評議会は、州ビジネス金融局(Business Finance Authority)のジェームズ・キー・ウォレス事務局長の要請を受け、米国水曜の朝に公聴会を開く。
キー・ウォレス氏は評議会に対し、この提案が実行可能で公共の利益に資すると認定し、準政府機関である同局に手続きを進める権限を与えるよう求めた。同氏は、このモデルが州を「責任ある暗号資産金融における世界的リーダー」に位置づけると述べている。
仕組みは従来の地方債と決定的に異なる。公的資金が一切リスクにさらされない点だ。投資家への返済は政府ではなく民間の借り手が行う。借り手はビットコインマイニング企業のクリーンスパーク(CLSK)で、同社がビットコインを担保として差し入れる。
債券の支払いは担保となるビットコインから生じる収益で賄われ、投資家はビットコイン価格の上昇に連動した追加の支払いを受け取る設計で、価格上昇局面の恩恵も得られる。価格があらかじめ定められた水準を下回った場合には、担保を保有する信託を清算し、債券保有者へ全額返済する仕組みとなっている。
JUST IN: 🇺🇸 New Hampshire Governor & Executive Council to hold a hearing tomorrow on establishing a Bitcoin-backed $100 million municipal bond 👀 pic.twitter.com/OcUnL1NQVv
— Bitcoin Magazine (@BitcoinMagazine) July 7, 2026
取引の管理はデジタル資産企業のウェーブ・デジタル・アセッツが担い、カストディアンはビットゴーが務め、規制下のコールドストレージでビットコインを保管する。
ムーディーズは「ニューハンプシャー州およびその地方自治体のいかなる公的資金も、格付け対象債券に基づく支払いに使用されることはない」と指摘している。
ニューハンプシャー州のビットコイン推進
この構想は、ブロックチェーン企業をニューハンプシャー州に呼び込む幅広い取り組みの一環だ。同州は2025年、戦略的ビットコイン準備法を全米で初めて成立させている。支持者は、この債券によってビジネス金融局が、納税者をビットコインの価格変動にさらすことなく、投資プログラムの財源となる収入源を得られると主張する。
その価格変動こそが、依然として中心的な懸念だ。3年満期の本債券は変動資産を担保とするため、相場が下落すれば満期を待たずに自動清算が発動する可能性がある。
キー・ウォレス氏が評議会に提出した文書は、融資契約が民間投資家と民間の借り手を仲介する仕組み(コンデュイット)を作り出し、暗号資産は政府保証ではなく担保として機能するため、州は守られていると論じている。
格付けはこのリスクを映す。ムーディーズは本債券に、投資適格を2段階下回る暫定格付け「Ba2」を付与し、相当な信用リスクを伴う投機的等級、いわゆる「ジャンク」級と位置づけた。州の暗号資産政策に深く関わってきた共和党のキース・アモン州下院議員は、地元報道機関グラナイト・ステート・ニュース・コラボラティブに対し、案件の新規性を踏まえれば慎重な出発点としてこの格付けは「理にかなっている」と述べた。
外部の専門家はさらに疑問を挙げる。マーケット大学のデビッド・クラウス名誉教授(金融論)はこの計画を検証し、最近のビットコインの値動きであれば清算条項が発動する「可能性が極めて高い」と結論づけたと、ボストン・グローブは伝えている。
クラウス氏は、州は「直接的な金銭的責任から法的に隔離される」ものの、これほど変動の大きい担保の導入は、地方債市場が歴史的に重んじてきた透明性・予見可能性・安定性を揺るがすものであり、法的責任を遮断してもレピュテーション(評判)リスクは残ると書いた。
「この債券はデジタル資産をストラクチャード・ファイナンスに組み込む概念実証にはなり得るが、汎用的な公共金融の手段には適していない」と同氏は結論づけた。
米国水曜の採決で承認されれば、ビジネス金融局は債券発行に進むことができる。