ビットコイン担保型の融資プラットフォームを運営するLedn社が発表した最新レポートは、まだほとんど存在していないこの市場の可能性に対して、「1兆ドル」という巨大な数字を付けた。同社は、現在約30億ドル規模とされる消費者向けビットコイン担保ローン市場が今後10年以内に300倍に成長する可能性がある、との調査結果を公表した。
参考までに、Galaxy Digital社の調査部門であるGalaxy Researchは、あらゆる種類のプラットフォームと商品を含めた暗号資産融資市場全体の規模を、2025年第3四半期で過去最高の736億ドルと推計している。Lednは、消費者向けビットコイン担保型ローンの市場だけでも、この数字をはるかに上回ると見込んでいる。
この調査は、消費者インサイト企業であるProtocol Theory社が実施し、2026年2月に米国およびオーストラリアの暗号資産保有者1244人を対象に行なわれた。もっとも注目すべき調査結果は、暗号資産保有者の88%が「デジタル資産を担保に借入を行なうことを検討する」と回答した一方で、実際に借入を利用しているのはわずか14%に過ぎなかった点だ。
つまり、「関心をもっている人」と「実際に利用した人」の間には、74パーセントポイントものギャップが存在している。では、何が人々を踏みとどまらせているのか?
最大の障壁は、商品に対する理解不足ではなかった。融資を受けたことのない人々は、主に3つの“信頼性”に関する懸念事項を挙げている。それは、暗号資産の価格変動への不安、価格下落時の強制清算リスク、規制に関する不確実性だ。また、「融資プラットフォームに何を求めるか?」という質問に対しては、回答者たちは金利や機能性よりも、リスク管理体制、プラットフォームの評判、そして明確な利用規約を上位に挙げた。つまり、“信頼性”こそが商品なのだ。
Lednの共同創業者であるマウリシオ・ディ・バルトロメオ(Mauricio Di Bartolomeo)氏は、「需要側の問題はすでに解決済みだ。まだ追いついていないのは、借り手が安心して行動に移れるような“信頼のインフラ(基盤)”だ」と説明している。
Lednの2億ドル規模のビットコイン担保債をS&Pが格付け
“信頼のインフラ”は、徐々にかたちになりつつある。2026年2月、Lednは、同社が「世界初」と呼ぶ投資適格クラスのビットコイン担保型資産担保証券(ABS)の取引を完了した。その規模は2億ドルであり、S&P GlobalによってシニアトランシェにはBBB-格付けが付与された。
Galaxy Researchは、この動きを「暗号資産クレジットが、ニッチな商品からより幅広い機関投資家による採用へと移行しつつあるものだ」と評価した。また、これらの債券は発行以来、利回りが約5%低下して取引されており、機関投資家が基礎信用力を高く評価していることを示している。
すでに暗号資産を担保にローンを利用している14%の人々については、その行動は富裕層が住宅ローンや有価証券担保ローンを受ける際の利用法と類似している。つまり、長期保有資産を売却することなく現金へアクセスする手段として利用されているのだ。調査では、暗号資産保有者の72%が「ビットコイン担保型ローンは、保有資産を売却せずに資金調達できる手段だ」と回答している。
また、地域差も明らかとなった。オーストラリアの回答者は、アメリカ人よりも、借入をファイナンシャル・プランの一環として活用する傾向が強く、さらに複数の貸し手を比較検討する傾向も強かった。これは、オーストラリアでは単一の融資プラットフォームが市場を独占しておらず、市場構造がより分散化されていることを反映している。
Lednの共同創業者ふたりは、 4月にラスベガスで開催されたカンファレンス「Bitcoin 2026」で、この「1兆ドル規模の市場予測」を初めて公表した。同社は2018年の設立以来、累計100億ドルを超える融資を取り扱っており、現在100カ国以上で事業を展開している。