バイナンスは米国時間の日曜日(11月1日)、顧客の出金を再開した。ハッカーが同取引所のホットウォレットから約63億ドルを流出させた後のことで、今回の事件は記録上最大の暗号資産窃取となっている。
同取引所は週末にかけて段階的に出金を再開した。ビットコインから始め、対象を15のネットワークに広げた。この動きは、同プラットフォームがこれほどの規模の損失を、顧客を締め出す状態を長引かせることなく吸収できるのかを問う、最初の本格的な試金石となった。
バイナンスは土曜日(10月31日)の3回目の復旧状況の報告で、影響額の90%を自社資金で補填したと述べた。同取引所は、ユーザー向け安全資産ファンド(SAFU)の一部、先物保険基金の一部、自社の財務資金を使い、補填用のトークンを購入した。
とりわけ注目を集めたのは先物保険基金からの拠出だった。バイナンスが、同基金に残る残高は規制上の要件だと説明していたためだ。バイナンスはまた、10月31日付の新たな準備金証明(プルーフ・オブ・リザーブ)のスナップショットを公表し、ユーザーが自身の残高を照合するための基準を示した。
日曜日の再開は、協定世界時(UTC)の午前6時にBTCから始まった。バイナンスはその後、ETH、BNB Smart Chain、Solana、XRP、Dogecoin、Tron、Polygon、Avalanche、Arbitrum、Base、Optimism、Zcash、TON、Suiを加えた。UTCの午前6時から午後3時30分までの間に、同取引所が処理した出金は約46億5,000万ドルで、入金は約10億1,000万ドルだった。
差し引きの純流出額は約36億4,000万ドルとなり、バイナンスが10月下旬の準備金証明で示した資産1,710億ドルの約2.1%に相当する。
再開作業の間も入金は受け付けられていた。同取引所は、再開直後の取引量の急増に伴い、一時的な遅延が生じる可能性があるとしていた。
バイナンスは、日曜日の報告で補填率が影響額の95%に達したと述べた。残る5%は、準備金証明の一覧で上位10資産に入らない、流動性の低いトークンだという。必要な規模でこれらのトークンを調達するには時間がかかり、同取引所は業界のパートナーや店頭(OTC)取引デスクと協力して購入を進めているとしている。バイナンスは全額を補填すると約束しており、ユーザーが今回の窃取による金銭的影響を負うことはないと繰り返している。
バイナンスは月曜日(11月2日)、10月31日のスナップショットについて、ゼロ知識証明がすべて完了したと述べた。BTC、ETH、USDT、BNB、SOL、USDC、XRP、USD1、RLUSD、ZECを保有するユーザーは、同取引所の検証ツールを使い、自身の残高が少なくとも1対1で裏付けられていることを確認できる。
検証ツールはオープンソースで、同取引所はユーザーに手順を追ったガイドを案内している。
同取引所は、対象のトークンを広げた次のスナップショットを11月4日に取得する計画で、その証明の生成には40〜50時間かかる見込みだという。次の出金フェーズは火曜日(11月3日)に予定されており、同取引所は再開の準備が整い次第、詳細を共有するとしていた。
バイナンスハッキングの 背景
法執行の面では、FBIが今回の攻撃を北朝鮮によるものとし、米シークレットサービスがサークルと協力して資金の追跡と凍結を進めている。テザーは約15億7,000万ドル分のUSDTを凍結したと報告し、サークルは当局と連携して8億ドル超のUSDCを凍結したと述べた。
市場は今回の侵害に鋭く反応した。攻撃後の数時間でBTCは約5%下落して7万7,000ドルを割り込み、コインベース、ロビンフッド、ストラテジー社、Striveの株価もそろって下落した。投資家は、業界全体に取引所レベルの損失が及ぶリスクを見極めようとしていた。
バイナンスは、当初の侵害以外にも侵入の経路が見つかったとしている。同取引所は当初、侵害の起点を1人のエンジニアのノートパソコンと説明していた。攻撃者がどのように作戦を準備し実行したのかを説明する完全な事後報告(ポストモーテム)は、まだ公表していない。一部の推計では、この作戦には少なくとも36時間の下準備がかかったとされる。
凍結されなかった約33億ドルの盗難資金の行き先についても十分な説明はなく、同取引所はその中からどれだけの回収を見込んでいるかを明らかにしていない。調査担当者は、10のブロックチェーンにまたがるウォレットの動きを引き続き追跡している。





