クリスマスの数日前、12月18日。ビットコイン・プライバシーの砦であった「Samourai Wallet」の共同創設者、キオン・ロドリゲス(Keonne Rodriguez)が収監される。彼が犯した「罪」。それは、銀行であれば当然とされるレベルのプライバシーを、ビットコインユーザーにもたらすツールを生み出した。ただそれだけのことだ。
ロドリゲスとウィリアム・ロナーガン・ヒル(William Lonergan Hill)が築き上げたこの技術基盤は、2024年4月、米国政府によって強制閉鎖に追い込まれた。マネーロンダリングを含む数々の容疑がかけられたが、注目の裁判を経て唯一残ったのは、最も根拠の薄い「無許可の資金移動業」という罪状だった。
そもそも「資金の移動」とは何を指すのか。検察側の主張によれば、もはやMSB(マネーサービス事業)ライセンスの要件に「ユーザー資産の管理(カストディ)」は含まれないという。「USBケーブルはデバイス間でデータを転送し、フライパンはコンロから食材へ熱を伝える。どちらも転送対象を『管理』しているわけではないが、転送は行っている」──もし司法省(DOJ)が理屈をこねてフライパンさえも起訴できるというのなら、USBケーブルのメーカーも「明日は我が身」と覚悟を決めるべきだろう。
While I’m no genius, the Supreme Court has emphasized that laws should be clear enough for an AVERAGE PERSON to understand
Let’s get into the minutiae of the specific subsection of the charge they pled to
What Keonne and Bill pled to was a violation 18 U.S. Code § 1960(b)(1)(C) pic.twitter.com/yGoDpZf8Eg
— lauren emily (@leamuirleyn) December 11, 2025
驚くべきことに、このDOJによる「資金移動業者」のあまりに拡大解釈された定義には、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)さえも異を唱えていた。当時のガイダンスにおいて、ノンカストディアル(非保管型)サービスは資金の流れを管理していないため、資金移動業者には該当しないとされていたからだ。FinCENはこの事実を書面でDOJ検察官に再確認していたが、検察側はそれを黙殺し、起訴を強行した。
さらに重大なのは、この決定的事実が約1年もの間、弁護側から隠蔽されていたことだ。ロドリゲスによれば、真実がようやく明るみに出た際も、「判事は審問でこの証拠を提示する申し立てを、議論さえ許さずに却下した」という。批評家たちは、DOJ検察官によるこの不誠実な対応は、被告人に有利な証拠の開示を義務付ける「ブレイディ・ルール(Brady v. Maryland)」への違反であると指弾する。ドナルド・J・トランプ流に言えば、まさに「仕組まれた(Rigged)」裁判だったのだ。
ビットコイン政策研究所(BPI)の政策責任者ザック・シャピロ(Zack Shapiro)は、この裁判がもたらす波紋について、トランプ政権および米国のソフトウェア産業全体に警鐘を鳴らす。「ツールの開発とサービスの運営。この両者の境界線を曖昧にすることは、プライバシー技術やセキュリティソフトを開発する者に対し、許容しがたいレベルのリスクを負わせることになる」
シャピロはBPIのウェブサイトで公開した書簡の中で、トランプ政権に対しSamourai Wallet開発者への恩赦を求めている。「ロドリゲスとヒルは、政府側の記録が規制の根拠を覆していたにもかかわらず、長期の実刑判決という現実的な脅威に直面し、最終的に司法取引を受け入れざるを得なかったのだ」
根本的に、Samourai Wallet事件における検察の手法は、米国クリプト産業におけるイノベーションの芽を摘み、市民の金融プライバシーを根底から脅かす悪しき前例となりかねない。これは将来の訴追や規制の方向性を決定づけ、連邦法下でノンカストディアル・サービスを資金移動業者として再定義する危険性を孕んでいる。結果、FinCENへのMSB登録が義務付けられ、ニューヨークやカリフォルニアといった管轄区域でも、より厳格な州レベルのライセンス規制が誘発されるだろう。
10年前のロス・ウルブリヒト(Ross Ulbricht)裁判を彷彿とさせるこのSamourai Walletに対する「仕組まれた訴追」は、バイデン政権下、反クリプト派の政治家たちの支援を受けて画策されたものだ。しかし、彼らは2025年の選挙で、圧倒的な民意を得たトランプに敗北した。トランプは2024年の「Bitcoin Nashville」での演説において、「私は常にセルフカストディの権利を守る」と明言し、米国を世界のクリプト・キャピタルにするという共通のビジョンのもと、業界から多大なる支持を取り付けた。
「私が就任宣誓を行うその日、ジョー・バイデンとカマラ・ハリスによる反クリプト十字軍は終わりを告げる」──ドナルド・J・トランプ、ナッシュビル2024。
広範なクリプト業界の多くのリバタリアンたちは、キオン・ロドリゲスやウィリアム・ロナーガン・ヒルといった起業家を、Tornado Cashの開発者たちやラジオ司会者のイアン・フリーマン(Ian Freeman)と同様、既得権益化した銀行カルテルの「政治犯」と見なしている。
ベンチャーキャピタリストであり、ホワイトハウスの「AI・暗号資産担当皇帝(Czar)」となるデビッド・サックス(David Sacks)もまた、この問題に注視すべきだ。そうでなければ、「クリプト担当皇帝」という役職に何の意味があるのか。カウンターパーティリスクが存在しないにもかかわらず、ビットコインウォレットが銀行と同様に規制されるなら、そこで守られているのは一体誰の利益なのか。メインストリート(一般市民)か、それともウォール街(金融資本)か。
DOJによるSamourai Wallet開発者への訴追と裁判の間、トランプ陣営が慎重な姿勢を保ってきたことは理解できる。しかし、法的な争いのそのステージは終わった。
今こそ、トランプ政権が米国民との約束を果たし、セルフカストディと米国のクリプト産業を守る時だ。トランプが事態を正し、キオン・ロドリゲスとウィリアム・ロナーガン・ヒル、そしてついでにTornado Cashの開発者たちを恩赦する時が来たのだ。第二のロス・ウルブリヒトのような司法の過ちを繰り返してはならない。
ビットコインおよびクリプト業界はこの動きを全面的に支持しており、Change.orgでの署名はすでに5,000筆を超え、増加の一途をたどっている。公式な資金調達キャンペーンはGiveSendGoのみで行われている。
トランプがSamourai Walletの開発者を恩赦すれば、それは強力なシグナルとなる。監視ベースの中央銀行デジタル通貨(CBDC)システムで米国と世界を隷属させようとする勢力に対し、「米国民はそれを容認しない」という明確な意思表示となるからだ。米国は、プライバシー、尊厳、適正手続き、そして推定無罪という基本的人権の側に立つのであり、プライバシーを犯罪扱いするような、かつての全体主義国家のような威嚇戦術には屈しない。
令状も、適正な手続きもない、無差別な大量監視。──真に「犯罪」と呼ぶべきは、そちらの方だ。