スタンダードチャータード銀行のデジタル資産部門責任者であるジェフリー・ケンドリック氏は、自身の強気なビットコイン価格予測を見直しつつある。ただし、その理由は「楽観的すぎたから」ではない。
5月8日木曜日、ケンドリック氏は顧客に宛てた電子メールで「第2四半期の目標として掲げた12万ドルという予測は低すぎた可能性があることをお詫びしたい」と述べ、ビットコインが2025年第2四半期に約12万ドルでピークを迎えるとした従来の見通しを撤回した。
わずか1カ月前、ケンドリック氏は、米国資産からの「戦略的資産再配分」や「クジラ(大口保有者)」による蓄積を背景に、年半ばまでにビットコインが史上最高値を更新するとの予測を出していた。
しかし現在、ビットコインは10万ドル目前に迫っており、一日で3%以上も上昇し9万9293.54ドルに達するなど、想定以上のペースで上昇している。ケンドリック氏もその急騰ぶりを認めざるをえなくなったようだ。
「ビットコインをめぐる主要なストーリーは再び変化している。かつてはリスク資産との相関性が焦点だった。それが米国資産からの戦略的資産移動の手段となり、いまではすべてが『資金フロー』に集約されている。そして、そのフローはさまざまなかたちで流入している」と、ケンドリック氏は述べた。
そのひとつの象徴的な動きが、過去3週間で米国のビットコイン現物ETFに53億ドルの資金が流入しているという事実だ。この動向は、機関投資家の関心が急速に高まっていることを示しており、ビットコインが世界的なポートフォリオにおけるマクロ資産としての地位を強めつつあることを裏付けている。
ケンドリック氏は、自らの予測修正を裏付ける複数の有力事例を挙げている。そのなかには、ストラテジー社がビットコイン購入を強気に続けていること、アブダビの政府系ファンドがブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」を保有していること、そして、スイス国立銀行がビットコインのレバレッジ型代替資産とみなされるストラテジー株(MSTR)を保有していることなどが含まれる。
かつて、ビットコインは米国のハイリスクなテック株と同列に語られ、価格変動の激しさも同様とみなされていた。しかし、まさに現在進行中の機関投資家による採用の波を受けて、ケンドリック氏はビットコインが新たなストーリーを獲得したと考えている。それは、今夏に12万ドルを大きく超える可能性があり、さらに年末までに20万ドルに達するという、彼の最新予測を支えるものだ。
「これらの支援的要因によって、BTCは第2四半期中に12万ドル前後の史上最高値に到達すると見込んでいる」と、かつてケンドリック氏は語っていた。しかし、ビットコインが現在すでに6桁目前に迫っている状況を踏まえると、12万ドルは通過点に過ぎないのかもしれない。