ビットコイン・トレジャリー企業は、このサイクルにおいてもっとも重要な需要牽引役のひとつとなっている。現在、上場企業86社が合計で100万BTC以上をバランスシート上に保有している。2020年にストラテジー社(MSTR)から始まったこの動きは、その後あらゆる企業に広がり、いまや毎週のように新規参入者が加わっている。しかし、これら企業の購入履歴を詳しく見ると、驚くべき事実が浮かび上がる。もし、これらの企業がシンプルでルールに基づいた備蓄戦略を採用していれば、今日現在、はるかに多くのビットコインを保有できていた可能性があるのだ。
MSTRが牽引するビットコイン・トレジャリー保有の現状
MSTRは約64万BTCを保有し、依然としてビットコイン保有企業のなかで圧倒的なリーダーだ。上場している主要なビットコイン・トレジャリー企業全体では、現在100万BTC以上が事実上ロックされており、これは流動性のある供給量を恒久的に減少させ、ビットコインのマネタリープレミアムを高める要因となっている(もちろん売却されないことが前提だ)。これはビットコインの需給経済にとって大きなプラス要因となっているが、データによると、これらの購入の大部分は市場が過熱した時期、特に局所的なピーク時に発生している。

MSTRの事例:ビットコイン・サイクルの最高値を買う
MSTRの活動を例に挙げてみよう。同社は2024年後半、ETF(上場投資信託)承認を受けてビットコインが7万ドルを突破した局面で、過去最大のアロケーションを行なった。この動きはMSTRに限ったことではなく、ビットコイン・トレジャリー領域全体が価格高騰局面で購入を前倒しするという同様のパターンを示していた。
MSTRのトレジャリー購入は、サイクルの底ではなく天井付近に集中している。

価格が上昇し、センチメントが高まっているときに資本を調達するのがもっとも容易であるため、これは理解できることだが、結果として、トレジャリー企業はしばしば割高の価格で購入してしまっている。実際、バックテストでは、わずかな下落を待つだけでも、トレジャリー企業は実際のエントリー価格と比較して平均10〜30%のコスト節約を実現できただろう可能性が示されている。もちろん、誰も価格動向を予測できる水晶玉をもっているわけではないが、少なくとも数週間で3桁のパーセンテージ上昇が見られた直後に購入しないことは、おそらく役に立つだろう。
MSTRとトレジャリー企業のためのシンプルなMVRVデータ駆動型修正
たったひとつのシンプルな調整で、大きな違いが生まれたかもしれない。それは、 MVRV比率をフィルターとして使うことだ。このアプローチは複雑ではない。正確な底値を見極めようとしたり、主観的な判断に頼ったりするわけではない。その代わりに、ローリングMVRVパーセンタイル閾値を用いることで、強気相場のもっとも過熱した局面での資金配分を回避するものだ。

MVRV比率が過去の記録の上位20%(過大評価の代理指標)にあるときには購入を避け、より落ち着いた時期にその資金を配分するだけで、MSTRは単独で約68万5000 BTCを保有できていたことになる。これは、現在の保有量よりも約5万BTC多い額だ。
現在の価格で換算すると、50億ドル以上のビットコインが追加で保有されていたことになる。これを比較すると、「逃した」ビットコインの量は、ほかのアクティブなビットコイン・トレジャリー企業(第2位のMarathon Digitalを除く)のこれまでの保有量の合計にほぼ匹敵する。

同様のフレームワークは、アルトコイン、株式、さらにはS&P500といった他市場でもテストされており、盲目的なドルコスト平均法(DCA)を一貫して上回るパフォーマンスを示している。戦略的なドルコスト平均法は、市場の状況にかかわらず、感情的なドルコスト平均法をほぼ凌駕している。
MSTR、トレジャリー、個人投資家への影響
トレジャリー企業にとって、このモデルの導入は長期的に数十億ドル規模の追加価値を生み出す可能性がある。個人投資家にとっても同じ原則が当てはまる。熱狂的な局面では上昇を追いかけるのを避け、市場の流れに身を任せるということだ。

もちろん、微妙な違いは認識しなければならない。企業は資金調達、スリッページのない大口取引の実行、株主の期待に応えるといった制約に直面している。しかし、そうした制約のなかでも、シンプルなデータに基づくフィルターを導入することで、成果を大幅に向上させることが可能だ。
結論:MSTRのより賢いビットコイン蓄積への道
ビットコイン・トレジャリー企業は、ネットワークにとって非常に大きなプラス効果をもたらしてきた。合計100万BTCを保有することで、供給量が減少し、マネーマルチプライヤー効果が高まり、機関投資家によるビットコイン採用の拡大が浮き彫りになっている。しかし、データは、ほとんどの企業が間違いなくもっとよいパフォーマンスを出せた可能性があることを示している。市場の過熱時での購入を避けるという単純な戦略を採っていれば、MSTRだけでも5万BTCを追加で保有できていたはずだ。これは現在50億ドル以上の価値に相当する。
企業にとっても個人にとっても、メッセージは同じだ。規律はFOMO(取り残される恐怖)を凌駕する。トレジャリー企業による蓄積はビットコインの供給環境を一変させたが、次なる進化は、リスクを増大させることなくリターンを最大化し、市場の下振れボラティリティを抑制する、よりスマートな備蓄戦略となるかもしれない。
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免責事項: 本記事は情報提供のみを目的としており、金融アドバイスを意図するものではありません。投資を行なう前に必ずご自身でリサーチを行なってください。
