ビットコイン界の新トレンドともいえる、Bitaxeのような低電力デバイスを使った自宅マイニングは、その数学的な確率がパワーボールのような高額宝くじの当選確率に匹敵するものとして、多くの人々の想像力を掻き立て始めている。こうした自宅マイニングは、確立が低く高報酬であることから「ロトマイニング(宝くじマイニング)」と呼ばれ、最近注目を集めている。Bitaxeのようなデバイスやその他の家庭用マイニング・デバイス(なかには家を暖房することができるものもある)は、高額当選のチャンスも提供するのだ。
本稿では、ロトマイニングとみなされるさまざまな種類のマイニング・プールと、数学的な確率、期待される報酬、家庭用マイナーによるソロ・マイニングのコストについて、アメリカ最大の宝くじであるパワーボールと比較してみる。
ロトマイニング・プール
マイニング・プールとは、ビットコイン・マイナーのコミュニティがハッシュレートを競い合い、ブロック報酬を獲得する確率を高め、各自の貢献度に応じて報酬を分配する仕組みを指す。ロトマイニング・プールは、この比例配分を活用する。
今日もっとも一般的なロトマイニングの形態は「ソロマイニング」と呼ばれ、第三者または個々のマイナーが運営するプールを指す。ユーザーは自分のデバイスをビットコイン・ネットワークに接続してマイニングを行ない、プール内の他のマイナーと報酬を分け合うことなく、ビットコイン報酬の全額獲得を目指す。「ソロマイニング・プール」に参加するメリットは、マイニング・プールのインフラを運営する必要がないこと。インフラの運営には多少の学習が必要で、ユーザーは完全なビットコイン・ノードといくつかのマイニング・プールソフトウェアを運用する必要がある。
そのほかの実験的なマイニング・プールは、報酬の配分を工夫することで、異なるインセンティブを生み出している。現在、Parasiteプールがもっとも知られている「混合型」ロトマイニング・プールだ。このプールでは、ブロックを発見した幸運なハッシャーに全ブロック報酬(3.125 BTC+取引手数料)のうち1BTCが与えられ、残りの2.125 BTCはプール内の他のマイナーの貢献に対する慰謝料として分配される。この仕組みによって、プールのハッシュレート向上が促進され、参加者全員がビットコインを獲得できる確率が高まる。
ロトマイニングの数学 vs. パワーボール
Bitaxeマイナーを例にとってみよう。Bitaxeは、現在の総ハッシュレートが1086エクサハッシュ/秒(EH/s)であるビットコイン・ネットワークに対して、平均1テラハッシュ/秒(TH/s)で動作する。つまり、1THのBitaxeは、1/1,086,000,000(10億8600万分の1)という確率で1ブロックを獲得できることになる。下の表は、ハッシュレートの単位ごとのスケールを示している。現在のビットコインのブロック報酬は3.125 BTC(+取引手数料)で、これは31万5000ドルを超える価値がある。
パワーボールのチケットは2ドルで、最高賞金のジャックポットは5億ドル、1回の抽選のオッズは1/292,200,000(2億9220万分の1)。パワーボールのオッズ(当選確率)と賞金は、Bitaxeでの自宅マイニングよりもはるかによくみえる(実際には3倍よい)。しかし、ここに落とし穴がある。パワーボールは年間で約156回しか行なわれないのに対して、ビットコインは年間5万2500回、つまり10分毎にブロックを獲得できるチャンスがある。つまり、パワーボールを156回プレイするのに年間312ドルを費やすことになるが、Bitaxeの場合、Bitaxeの約200ドルと年間平均電気代という費用で数万回もプレイできる。また、Bitaxe数台を追加購入したり、より強力な家庭用マイニング装置を購入したりすれば、オッズを何倍にも増やすことができる。
1TH/sのBitaxeの例を続けよう。
オッズは原則として、試行回数を重ねるごとに累積されるわけではない(オッズは一定である)が、「まったくプレイしない人が勝つ可能性はゼロ」というのが通説だ。伝説的なアイスホッケー選手のウェイン・グレツキーの言葉としてよく挙げられる「打たないシュートは100%外れる」という格言もある。
トレーディングの世界では、この反統計的な概念がリスクの観点から理解されている。損失のコストが小さい場合、成功の可能性が十分に高く、見返り(報酬)が大きい限り、そのリスクを取る価値があるかもしれない。重要なのは、破綻しないこと、清算されないこと、そして、ゲームを続けられなくなるほどの大きな損失を出さないこと。
機会費用に関するこの直感は、二項確率の公式(1 – (1 – p)^n)で定量化することができる。
つまり、ビットコインのブロックが年間5万2500回(10分毎に1ブロック)マイニングされると仮定すると、年間で少なくともひとつのブロックを獲得する確率は、1 – (1 – 1/1,086,000,000)^52,500 ≈ 1/20,686(2万686分の1)となる。
これを年間156回(週に約3回)抽選されるパワーボールと比較してみよう。1回の当選確率は1/292,200,000。年間の当選確率は、1 – (1 – 1/292,200,000)^156 ≈ 1/1,873,077となる。これでようやく話が進む。
この原理、というか、この直感的な考え方は、ビットコイン・マイニングにも当てはまる。特にロトマイニングにおいては顕著で、地元の宝くじよりも何千倍も多く賭けることで、自分のビットコイン・ウォレットに直接、多額の報酬が振り込まれる可能性がある。
もちろん、家庭用マイニングにはほかにもメリットがある。例えば、暖房に使うはずだった電気で家を温められる可能性があるなど。しかも、ビットコインのマイニングもできる。そして、マイニング・プールでは、まだ厳密には定量化できない付加価値を生み出す可能性のある多くのイノベーションが生まれ始めている。そのなかでも重要なのは、ハードウェア、エネルギー、そして、お金について学べることだ。
それは、地元の宝くじでは絶対に手に入らない。
(これらの数字を自分のハッシュレートで計算できるように、ロトマイニング計算機を作成した。もちろん、オープンソースで)
