ビットコイン界の著名人であり、暗号資産取引所BitMEX(ビットメックス)の共同創設者でもあるアーサー・ヘイズ氏が、業界の第一線に華々しく復帰する準備を進めていると報じられている。
ブルームバーグの報道によると、彼のファミリーオフィスであるMaelstrom(メイルストロム)は、初のプライベートエクイティファンド「Maelstrom Equity Fund I(メイルストロム・エクイティファンド I)」のために、少なくとも2億5000万ドルの資金調達を目指している。同ファンドは暗号資産分野の中規模企業4〜6社を買収する計画だという。
各投資額は4000万ドルから7500万ドルの範囲になる見込みで、暗号資産エコシステムに取引インフラ、データ分析、その他のテクノロジーサービスを提供する企業に重点が置かれる。
アーサー・ヘイズ氏は永久スワップ(Perpetual Swap)を考案し、暗号資産取引プラットフォームBitMEXを変革したことで知られている。彼は最年少のアフリカ系アメリカ人暗号資産ビリオネアとなり、BitMEXのマネーロンダリング対策の不備をめぐる問題の後、ドナルド・トランプ大統領から恩赦を受けた。
10月17日、ヘイズ氏はX(旧Twitter)上で「$BTCはセール中だ。もし、米国の地方銀行の混乱が危機に発展したら、2023年のような救済措置に備えよう。そして、余剰資金があるなら買いに出よう」と投稿した。
アーサー・ヘイズのファンドとは
この新しいファンドは、Maelstromにとってある種の転換点となる。同社のこれまでのベンチャー投資はトークンに重点を置いていたが、新ファンドは株式投資に特化する方針だ。
Maelstromの共同創設者兼マネージングパートナーであるAkshat Vaidya(アクシャット・ヴァイディヤ)氏は、「オフチェーンの世界で使われていないトークンでは、価値を人為的に高めることはできない」と述べている。
同ファンドは、現金を生み出すオフチェーン企業をターゲットにすることで、より明確な企業価値と持続的な成長可能性を秘めた企業を買収する方針だ。
ブルームバーグによると、Maelstromはファンド自体をアンカー投資家として位置づけ、各買収案件を特別目的事業体(SPV)を通じて構築する計画だという。
買収された企業は、経営陣の刷新や成長加速などの事業運営上の改善を経て、4〜5年以内に大規模な投資家へ売却される計画だ。
Vaidya氏によると、この戦略は「高成長・高キャッシュフローな暗号資産セクターに投資したいのだが、そのような投資を直接運用する専門知識が社内に不足している投資家」にとって魅力的だという。
ヘイズ氏の再登場は、暗号資産分野におけるプライベートエクイティ活動全般の減速が進むなかでの動きだ。サム・バンクマン=フリード氏のFTX破綻を受けて、2022年以降この業界でのディールメイキングは急激に減少している。
Maelstrom Fundは米国で登録され、暗号資産投資家、ファミリーオフィス、年金基金などの機関投資家を含む多様な出資者を引き付けることを目指している。
Vaidya氏は、ファンドは2026年3月31日までに第一次調達をクローズし、2026年9月までに全額の資金調達を完了する予定だと語った。ブルームバーグによると、ヘイズ氏はVaidya氏と新たに採用されたパートナーのAdam Schlegel(アダム・シュレゲル)氏とともにこのプロジェクトを主導し、ファンドの規模拡大に合わせてチームを拡張してゆく計画だという。
今年は、Coinbase(コインベース)による29億ドルのDeribit(デリビット)買収やRipple(リップル)による12億5000万ドルでのHidden Road(ヒドゥン・ロード)買収など、一連の大型買収が行なわれており、デジタル資産分野への投資家の信頼が新たに高まっている。