Coinkiteが提供するビットコイン用ハードウェアウォレット「Coldcard」のシード生成機能に脆弱性が見つかり、関連するとみられる資金流出は7,000万ドル規模に達している。
Coinkiteは7月30日、Coldcard MK3のユーザーに対し、資金を移すよう勧めた。さらに翌31日には、後継機であるMK4、MK5、Qのユーザーも対策を取るべきだと述べた。
ギャラクシー・リサーチが、決済企業Blockのエンジニアによる分析パターンをもとに追跡したところ、7月30日に1,196のビットコインアドレスから、合計1,082.65BTCが移動していた。
CoinkiteはColdcardのシード生成に不具合があったことを認めている。特定のファームウェアバージョンでは、ハードウェアの真性乱数生成器が実際には使われていなかったという。一方、確認されている資金流出が、この不具合を悪用した攻撃によるものかどうかについては、正式な結論を示していない。
Coinkiteをはじめビットコイン業界のエンジニアは、本稿執筆時点でも続いていると伝えられる資金流出について、調査を続けている。
何が起きたのか
Coldcard MK3のファームウェアのバグ(2021年3月のバージョン4.0.1以降)により、シードの生成がハードウェアの真性乱数生成器ではなく、脆弱なソフトウェアの擬似乱数生成器(PRNG)に切り替わっていた。ビットコイン・マガジンによると、生成されたシードのエントロピーは、本来想定された128ビットではなく約40ビットにとどまっていた。これにより、多くのシングルシグウォレット、とりわけサイコロの出目や強力なBIP39のパスフレーズを使わずに作られたウォレットの秘密鍵が、攻撃者が総当たり攻撃で割り出せる程度に予測可能になっていた。
7月30日には、シングルシグのアドレスから合計594.5BTCが新しいアドレスへ移された。
🚨 NEW: Over 594 BTC worth $38 million was stolen from Bitcoin hardware wallet Coldcard users.
The attacker then moved around the BTC and consolidated 562 BTC into this address below.
Users are urged to review the company’s official security guidance as soon as possible. ‼ pic.twitter.com/exD2Wax7CY
— Bitcoin Magazine (@BitcoinMagazine) July 31, 2026
【速報】ビットコインのハードウェアウォレットColdcardのユーザーから、594BTC超(3,800万ドル相当)が盗まれた。攻撃者はその後BTCを動かし、562BTCを下記のアドレスに集約した。ユーザーは同社の公式セキュリティガイダンスを至急確認するよう促されている ——ビットコイン・マガジン(@BitcoinMagazine)2026年7月31日
ブロックチェーンアナリストによると、その後さらに多くのウォレットから資金が抜き出され、被害総額は7,000万ドルを超えている。
影響を受けたユーザーがSNS上で自身の状況を共有しており、そのうちの一人は、2021年以降動かしていなかったビットコインが突然抜き取られたと述べている。
ビットコインのエンジニアたちはその後、Coldcard製品、とりわけMK3に「ウォレット生成におけるエントロピーの不具合」があり、シードフレーズの作成に本当のランダム性が使われていなかったと指摘している。
取るべき対応
ビットコイン業界の開発者は、Coldcardを使っていたユーザーに資金を移すよう呼びかけている。Coinkiteは、ユーザーが取るべき対応についてのガイダンスを公開している。
The first post was the advisory and what users should do.
This second post has the technical details: what actually went wrong, why our reviews missed it, the impact across Mk3/Mk4/Q/Mk5, and what we changed.https://t.co/HshUxevCl3
( current evaluating Mk3 firmware release ) https://t.co/Yfdx4XcztA
— COLDCARD (@COLDCARDwallet) July 31, 2026
最初の投稿はアドバイザリーと、ユーザーが取るべき対応についてのものだ。この2本目の投稿には技術的な詳細を記した。実際に何が問題だったのか、なぜ我々のレビューで見落とされたのか、MK3・MK4・Q・MK5それぞれへの影響、そして我々が何を変えたのか。(MK3向けファームウェアのリリースは現在検証中) ——COLDCARD(@COLDCARDwallet)2026年7月31日
Coinkiteは当初MK3を対象としていたが、7月31日には対象を広げた。シードの作成時に、ユーザー自身が独立して用意したエントロピー——同社が例外として挙げるのは50回以上のサイコロの出目——を加えていなかった場合、修正版ファームウェアへ更新したうえで新しいシードを生成し、資金を移す必要があるとしている。資金の安全を確実にするため、Coldcardの使用を完全にやめるべきだと警告する声もある。
※編集部注:Coinkiteのアドバイザリーは、米国東部夏時間の8月1日午後2時35分(日本時間8月2日午前3時35分)に再更新された。影響対象は、MK2・MK3の4.0.1〜4.1.9、MK4・MK5のStandard版5.6.0未満/Edge版6.6.0X未満、QのStandard版1.5.0Q未満/Edge版6.6.0QX未満。独立したサイコロによる十分なエントロピーを追加していた場合などを除き、対象ファームウェアで生成されたシードはリスクにさらされる。ファームウェアを更新しても既存シードは修復されないため、Coinkiteは修正版への更新後に新しいシードを生成し、資金を移行するよう案内している。
「ひどい事態だ」。ビットコインのセキュリティ企業Wizardsardineのケビン・ロアックCEOはこう書いた。
「2021年以降に[Coldcardで]生成されたシードフレーズは、すべて数日のうちに公になるだろう」とロアック氏は警告している。