CryptoQuantの週次レポート「Incoming Volatility?」は、市場の均衡が崩れ、大きな値動きが近づいている可能性をデータから示している。
ビットコインの取引所流入は6月30日に約49,000BTCへ急増した。2026年でこれまでに4回しか記録されていない極端な水準だ。同じ週、イーサリアムの流入も125万ETHを超えた。アルトコインの入金トランザクションは1日あたり約45,000件と過去2ヶ月で最高を記録しており、ビットコインが5月初旬の82,000ドルから6月下旬に58,000ドルを割り込むまで下落した局面に先行して現れたパターンと一致している。
これらのシグナルはいずれも、歴史的には方向性を持った値動き、大半は下落に先行してきた。
それでも木曜朝の時点で、ビットコインは61,600ドル前後で取引されている。レポートが「防衛ライン」と位置づける60,000ドルのサポートを上回り、58,600ドル前後だった水曜の水準から数千ドル上昇した格好だ。オンチェーンデータは強いリスク回避シグナルを示している一方、価格はそれを意に介していない。
レポートで最も弱気な材料は、流入の総量ではなく内訳だ。平均入金サイズが1BTCから2BTCへ倍増した。小口のパニック売りが積み重なった結果ではなく、クジラなどの大口保有者や機関投資家がコインを取引所へ意図的に移動させている動きとみられる。
CryptoQuantのJulio Moreno氏は、平均入金サイズの急増は流入量そのものより弱気なシグナルだと指摘する。ノイズではなく意図を示すためだ。大口保有者が売却に動くときは、市場がまだ織り込んでいない情報を把握している、あるいは少なくとも本人たちはそう考えて行動している場合が多い。
ではなぜ価格は逆に動いたのか。こうした資金フローも、マクロ環境から切り離されているわけではない。ビットコインの6月の下落は、暗号資産固有の要因よりも、資金がデジタル資産から半導体トレードへ回転したこと、米国とイランの緊張がインフレ懸念を煽ったこと、そしてストラテジー社が保有量を削減したことによる部分が大きい。
Mt. Goxが先月10,422BTCを移動させたことで、10月の返済期限を前に債権者売りへの懸念が再燃した。現物ビットコインETFも、2桁日数連続の資金流出で数十億ドルを失っている。
取引所へコインを移動させているクジラたちは、この同じマクロの嵐に備えてポジションを取っているだけで、下落を引き起こしている当事者ではないのかもしれない。
木曜の反発は、利下げ観測の後退を和らげたFRBのハト派的な発言によるものだ。この相場ではマクロ要因が主導し、オンチェーン指標はそれに追随している。
ビットコインの価格動向
記事執筆時点でビットコインは61,469.98ドル。24時間の安値59,520ドルから反発し、前日比1,322.54ドル(+2.2%)高となっている。午前10時頃には62,148ドル付近まで上昇した。
60,000ドルを上回る水準への回復は、324億9,000万ドルの1日出来高、1兆2,300億ドルの時価総額とともに、レポートが示す「60,000ドルが攻防ライン」との見立てと一致する。この日は60,000ドルの水準を維持して推移している。