暗号資産業界でもっとも歴史のある企業のひとつ、Blockchain.com Group Holdings Inc.は米国での新規株式公開(IPO)へ向け、S-1登録届出書の草案を米証券取引委員会(SEC)に非公開で提出した。ダラスに本拠を置く同社が、5月21日(米国時間)に発表した。
なお、発行予定株式数および想定価格帯は未定だ。IPOの実施は、市場環境およびSECの審査完了を条件としている。同社は2026年末までの上場を目指している。
オリジナルのビットコイン・オンラインフォーラムであるBitcoinTalk.orgのメンバー3人によって2011年に設立されたBlockchain.comは、デジタル資産分野において最初期に誕生した企業のひとつだ。当初、同社はビットコイン・ブロックチェーン上の活動追跡サービスとしてスタートしたが、その後、一般消費者向けウォレットおよび取引所へと事業を拡大し、さらに機関投資家向けの商品・サービス分野へと進出していった。
現在、同社は9500万以上のウォレットをサポートしており、4300万以上の認証済みアカウントを抱えている。従業員数は約500人で、同社に詳しい情報筋によると、調整後ベースで3年連続黒字を達成しているという。
暗号資産企業が株式市場に進出
今回の申請は、暗号資産企業による株式公開市場への進出が継続していることを示す、最新のマイルストーンと言える。2025年だけでも、Circle社、eToro社、Bullish社、そしてウィンクルボス兄弟率いる取引所のGemini社が相次いで上場し、少なくとも11件の株式公開を通じて計146億ドルを調達したと推定されている。
BitGo社は2026年1月にニューヨーク証券取引所に上場し、今年最初に株式公開した大手暗号資産企業となった。
一方、Krakenを運営するPayward社は、2025年11月に米国でのIPOを非公開で申請し、第1四半期の上場を目指していた。しかし、市場環境の悪化を受けて、3月に上場計画を棚上げしている。なお、Grayscale社も現在なおIPOを計画している企業のひとつだ。
Blockchain.comにとって、上場までの道のりは長いものだった。同社は当初、時価総額140億ドルの評価を受けていた2022年時点で、すでに上場を検討していた。しかし2023年、英国のKingsway Capital社が主導するシリーズEラウンドで1億1000万ドルを調達した際には、企業評価額は2022年ピーク時の半分以下にまで下落していた。これは、その年に発生した金融危機に続く暗号資産市場全体の低迷を反映した、大幅な評価リセットだった。
なお、米国証券法で認められている非公開申請制度によって、企業はSECによる審査期間中、市場の監視を避けながら株式公開の準備を進めることができる。Blockchain.comが上場を完了すれば、急速に拡大する暗号資産企業の上場リストに、またひとつ老舗の企業名が加わることになる。