4月28日(米国時間)、「Bitcoin 2026」カンファレンスのメインステージに、ビットコインの普及を牽引する著名なリーダー4名が集結。異例とも言えるビットコイン業界の力学、すなわち直接の競合企業同士が公然と協力し合うという構造こそが、現在進行中の機関投資家によるデジタル資産への参入を決定づける特徴だと主張した。
このパネルディスカッションには、Nakamoto IncのCEOであるデイビッド・ベイリー氏、Capital B社のアレクサンドル・レゼ氏、メタプラネット社のディラン・ルクレール氏が登壇し、Bitcoin for Corporationsのジョージ・メクハイル氏がモデレーターを務めた。
ディスカッションの冒頭で、まずベイリー氏は、ビットコインを分散型企業に近いものとして位置付け、同業他社の企業価値が上昇することは競争による奪い合いではなく、むしろエコシステム全体を活性化させると論じた。彼は、UTXO Management社がCapital Bとメタプラネットの両社に投資していることを、その理念を具体的に示す例として挙げ、投資家と協力者の境界が曖昧になっている構造を指摘した。
ルクレール氏もこの見方に同調し、ビットコインは他のほとんどの業界とは異なり、参加者同士が積極的に戦略を共有し、互いの成果を基盤として構築していく点で特異だと主張した。レゼ氏は発言の冒頭で他のパネリストへの感謝を述べ、企業によるビットコイン導入を推進するうえで彼らがインスピレーションを与えてくれたと称賛した。このような表現は他業界のカンファレンスではほとんど見られないものだ。
制度的な障壁がビットコインを制約している
楽観的な見方がある一方で、パネルディスカッションでは依然として立ちはだかる構造的な障害について率直に語られ、ビットコインが「まだ初期段階にある」ことが強調された。ルクレール氏は注目すべきデータを示し、債券や特定の資産クラスに限定された投資運用義務の制約により、機関投資家の資金の99%は現時点ではビットコインやビットコインETF(上場投資信託)にアクセスできないと推定した。
ルクレール氏にとっては、まさにこの制約こそが現状をまだ初期段階に位置付けている理由であり、課題の本質はイデオロギーではなくインフラにあるとした。
彼は、「ハイパービットコイナイゼーション」を単一の突破的な出来事としてではなく、カストディ・ソリューション、コンプライアンスを遵守した金融商品、規制の明確化といった制度的な基盤整備を必要とする、徐々に進行するプロセスとして説明した。
また、マイケル・セイラー氏が伝統的な金融においてこのギャップを特定し、その解消に着手したことを評価しつつ、ある種のパラドックスにも言及した。それは、極端な価格上昇を期待しながら、同時にその実現に不可欠な機関投資家の参入を拒むビットコイナーの存在である。
ベイリー氏もこの見解を補強し、現在ビットコインをバランスシートに計上している企業は数百社に過ぎず、ストラテジー社が示している道筋もまだ初期段階にあると指摘した。そして、最終的にはすべての経済主体がビットコインに関与する必要があるとし、一部の参加者を排除するような見方はビットコインの根本的な理念に反すると主張した。
「ハイパービットコイナイゼーションが実現するためには……世界中のあらゆる経済主体がビットコインを使う必要がある」と、ベイリー氏は語った。
レゼ氏は、フランスの企業であるCapital Bのアプローチとして機関投資家のニーズに合わせた設計を説明した。ブラックロック社のビットコインETP(上場取引型金融商品)や、同社の増加する機関投資家顧客数を例に挙げ、欧州の投資家がコンプライアンスに適合したチャネルを通じてビットコインへの実質的なエクスポージャーを得ている現状を語った。
ビットコインのボラティリティを直接受け入れられない顧客に対しては、「デジタル・クレジット」商品が代替手段になるとし、価格リスクをフルで負うことなく、市場へのエクスポージャーを得られるよう構造化された金融商品を紹介している、と彼は説明した。
また、レゼ氏はビットコインを中心に構築されつつある金融サービス層の発展について強気な見方を示し、今後は保有者が自身のビットコインを売却することなく資金にアクセスできるよう、ビットコインを担保として融資を行なう金融機関の重要性が増していくだろうと主張した。彼は、これを資産に対する敬意の問題でもあるとし、ユーザーはビットコインをすぐに売却すべきではなく、保有すべき価値ある担保として扱う金融パートナーを求めていると強調した。
ビットコインは伝統的な金融に浸透しつつある
ベイリー氏は、ビットコインと既存の金融との関係について議論するなかで、パネルディスカッションのなかでもっとも鋭い指摘を行なった。彼は、ビットコインの基盤となる技術は不変であるため、ブラックロックを含むいかなる金融機関であってもその特性を変えることはできないと主張した。そして、この力学は一方向にしか働かない、「ビットコインがブラックロックを変えるのだ」と述べた。
彼はまた、伝統的な金融業界の内部でビットコインを受け入れる機関と抵抗する機関との間に分断が広がっていることを認め、ビットコイン支持者たちを「伝統の破壊者」と表現した。
こうした分断こそが、政策に影響を与え、金融システムのルール形成をビットコインに有利なかたちでできるような大規模な機関投資家基盤を構築する必要性を高めていると、彼は論じた。
さらにベイリー氏は、現在ブラックロックの関与を批判している人々は、将来的にFRB(米連邦準備制度理事会)を含む中央銀行がビットコインを取得し始めた場合、より大きな課題に直面することになるだろうと示唆した。
モデレーターを務めたメクハイル氏は、時間軸に関する補足として、Bitcoin for Corporationsはこの参入段階にある企業を支援するために存在していると述べるとともに、企業による導入サイクルにおいて「真に初期段階にいる」時間は、多くの人が考えている以上に急速に閉じつつあると警告した。