ビットコインは重要な節目を迎えた。総供給量2,100万枚のうち、すでに2,000万枚以上が採掘されたのである。これは、暗号資産ビットコインの総供給量の95%以上がすでに市場に出回っていることを意味し、今後新たに発行されるコインは100万枚未満となる。
しかし、それらがすぐにすべて採掘されるわけではない。ビットコインの最小単位であるサトシ(satoshi)まで含めた最後のコインは、2140年ごろに採掘されると予測されている。
ビットコインの供給量はコードに組み込まれており、ドルやユーロといった従来の通貨とは大きく異なる仕組みとなっている。サトシ・ナカモトが2009年にネットワークを立ち上げた際、コインは段階的に発行されるよう設計された。
マイナーは取引を検証し、それをブロックチェーンに追加することで新たなビットコインを報酬として受け取る。この報酬は当初1ブロックあたり50BTCから始まり、「半減期(halving)」と呼ばれるイベントによっておよそ4年ごとに半分に減少する仕組みである。
直近では2024年の半減期により、ブロック報酬は1ブロックあたり3.125BTCへと引き下げられた。これにより、新たに市場へ流入するBTCのペースはさらに鈍化した。
この設計により、初期の数年間は比較的速いペースでコインが発行された一方、残りの100万枚は非常にゆっくりと市場に供給されていくことになる。現在、マイナーによって1日あたり約450BTCが新たに生み出されており、これは2024年の半減期前の約半分の水準である。
ビットコインの発行上限2,100万枚のうち、
ついに2,000万枚以上が採掘されました⛏️残りは100万枚未満です。
(詳細は画像ALTにて) pic.twitter.com/Vdl8nMl0pm— Bitcoin Magazine Japan (@BitcoinMagJapan) March 10, 2026
報酬が今後さらに減少していくにつれ、マイナーは事業を維持するために新規発行コインではなく、取引手数料への依存度を高めていくことになる。
BTCの供給に影響を与えるもうひとつの要因は、事実上失われたコインの存在である。初期の一部のコインは秘密鍵の存在しないアドレスに送られており、推定では200万〜350万BTCが永久に回収不能となっている可能性がある。
さらに、設計上使用できないBTCも存在する。たとえばビットコインの最初のブロックであるジェネシスブロックから発行された50BTCは使用できない仕様となっており、これらは恒久的に流通から除外されている。
このような要因により、実際に市場で取引可能なBTCの枚数はさらに少なくなり、希少性を高めるとともに、ビットコインの「ハードマネー」としての性質を強化している。
ビットコイン価格の変動
新規発行ペースが減少しているにもかかわらず、ビットコインやその他の暗号資産の価格は依然として世界の金融市場、投資家心理、経済ニュースの影響を受けて動いている。供給が予測可能であっても、短期的な価値は需要や市場環境によって日々変動する。
執筆時点では、ビットコインの価格は69,000ドルから70,000ドルの間で推移している。
しかし長期的には、固定された供給量と透明性の高い発行スケジュールにより、ビットコインは従来の法定通貨に対して独自の優位性を持つ可能性があると考えられている。
アナリストによれば、予測可能性と希少性は貨幣として評価されやすい特性であり、とりわけ中央銀行の政策やインフレリスクが不透明な世界ではその価値が高まる傾向があるという。
今後を見据えると、最後のBTCは単なる理論上の数字ではない。2140年までに、マイナーはネットワーク維持のための収益を完全に取引手数料に依存するようになるとみられている。これはビットコイン送金のコストが上昇する可能性を示す一方、新規発行がなくてもネットワークが維持される仕組みを意味する。
要するに、ビットコインは急速に拡大する実験段階から、入手が困難な希少なデジタル資産へと移行しつつある。日々の価格は世界経済とともに変動し続けるが、その最終的な希少性はコードによって定義されており、誰にも変更できないデジタルマネーの長期的実験である。