SBIホールディングスは6月25日、ビットバンクの完全子会社化に向けた基本合意書および株式譲渡契約を締結したと発表した。SBIホールディングスの完全子会社であるSBICAH合同会社を通じた取引で、総取得価額は467億円となる。
取引は複数の手続きで構成される。まず8月にSBICAHが廣末紀之氏をはじめとする個人株主から株式を取得する。続いてSBICAHがビットバンクの第三者割当増資を引き受け、ビットバンクはその調達資金でMIXIおよびセレスが保有する株式を自己株式として取得する。一連の手続きは10月ごろの完了を見込んでおり、クロージングは公正取引委員会の承認等が条件となる。
ビットバンクは既存ユーザーに対し、所有権移転の期間中もサービスの利用は継続できると告知した。
日本最大の暗号資産グループへ
ビットバンク買収により、SBIの日本デジタル資産市場における規模が一変する。2026年4月末時点でのSBI VC トレードとの単純合算では、暗号資産口座数は約292万口座、預かり資産残高は約1.1兆円に達する。SBIは預かり資産残高で国内暗号資産交換業者の第1位となる見込みで、口座数でもトップクラスの規模となるとしている。
近年、SBIはビットバンク以外にも買収を重ねてきた。2026年4月にはSBI VC トレードがビットポイントジャパンを吸収している。ビットバンクはその延長線上にある買収であり、日本の規制対応市場で長年実績を持ち、同社によれば創業以来ハッキング被害は発生していないブランドを傘下に加える。SBIは、顧客基盤の拡大に加え、ビットバンクのサービス開発力やセキュリティ・コンプライアンス体制を活用することで、暗号資産取引サービスの高度化や、ステーブルコインを活用した新たな金融サービスの拡充を目指すとしている。
ビットバンクCEOの廣末紀之氏は今回の売却株主の一人だ。10年以上をかけて国内有数の信頼ある取引所ブランドを育ててきた創業者にとって、今回がそのエグジットとなる。
規制変更を見据えた先手
この買収は、日本の暗号資産業界が制度的な転換期を迎えているタイミングで行われた。日本当局はデジタル資産を金融商品取引法の対象に加えるかどうかを検討しており、再分類が実現した場合には早ければ2027年度から適用される見通しだ。この変更が実現すれば、取引所には厳格なコンプライアンス要件が課され、資本力のある大規模グループにとって有利な環境となる。
SBIはその変化に対して布石を打ち続けてきた。ビットバンク買収の発表前日、同グループはSBI新生信託銀行を通じた国内初の信託型円建てステーブルコインJPYSCの提供を開始した。また、SBI VC トレードを通じてビットコインなどを還元するVisaブランドのリワードカードを展開し、RippleのRLUSDドルステーブルコインの日本での共同展開も完了させている。
取引所業務、カストディ、ステーブルコイン、暗号資産連動決済——SBIはこれらを束ねる金融グループとして、国内暗号資産市場で存在感を高めている。