ブロックチェーン技術企業のByteFederal社は、フロリダ州でビットコインを使った不動産購入を可能にするパイロットプログラムを開始した。このサービスは2025年7月21日に発表され、不動産の売主には米ドルで決済が行なわれる。サービス対象は新築物件で、新築不動産開発に特化したプラットフォーム「New Estate Only(NEO)」との戦略的パートナーシップを通じて提供される。さらに、国際的な不動産会社であるOPISAS社との連携により、外国人投資家が暗号資産で米国の不動産を購入できるようになり、フロリダの住宅市場へのアクセスが拡大される。
フロリダで実施されるこのパイロットプログラムでは、購入者は手付保証金や最終決済金をビットコインで支払うことができ、ByteFederalがそれを米ドルに換金してエスクロー会社またはタイトル会社に送金する。ByteFederalのCEOであるポール・タランティーノ氏はインタビューで、「ビットコインのQRコードを生成し、ビットコインで支払ってもらい、当社が換金処理を行ない、そして、米ドルで決済会社に送金する」と語った。このサービスは現在手動で行なわれているが、すでに待機リストができており、まもなく完全自動化される予定だ。購入者は、取引全体をビットコインのみで行なうことも、暗号資産と法定通貨を組み合わせて支払うこともでき、多様な資金戦略が可能となっている。
ByteFederalはNEOとの提携により、NEOのプラットフォームを活用することができる。このプラットフォームは、新築住宅に特化したMLS(マルチリスティングサービス)として機能し、従来のMLSプラットフォームでは網羅されていなかった市場セグメントだ。NEOはベンチャーキャピタルの支援を受け、現在はフロリダ州とテキサス州で事業を展開しており、戸建て住宅、タウンハウス、コンドミニアム、高層マンションなどの物件を掲載している。「NEOは新築住宅と開発プロジェクト向けの大規模プラットフォームを最初に構築した企業だ」と、タランティーノ氏は説明した。
OPISASとの連携は、特にイタリアから米国への不動産投資を目論む国際投資家をターゲットとしている。OPISASは物件の選定を支援し、ByteFederalは暗号資産から法定通貨への換金処理を担当することで、売主がビットコインの価格変動リスクを負うことなく販売代金を米ドルで受け取れるようにしている。このパートナーシップは、米国不動産への国際的な関心の高まりに対応したもので、NEOは今後、コロンビア、エルサルバドル、イタリア、ドバイへの事業拡大を計画している。タランティーノ氏は「米国人がコロンビアの不動産を購入することも、コロンビア人が米国で不動産を購入することも可能だ」と述べ、プラットフォームの世界的な可能性を強調した。
フロリダを拠点とするByteFederalは、ビットコインATMの運営、ByteWalletの提供、小売業者向けのPOSシステム「ByteConnect」といった事業を展開。同社は15の送金業ライセンスを保有し、規制遵守を重視している。これは、テザーやライトニング・ネットワーク取引の法的明確性をもたらすとされるクラリティ法など、最近の米国の規制動向を受けた戦略的な動きといえる。タランティーノ氏は、「この新しい環境は、これまで暗号資産に不安や抵抗を感じていた新規ユーザーを市場に呼び込むことになるだろう」と述べ、2025年9月に予定されているカストディアルウォレットのローンチに言及した。
この取り組みは、米国の金融政策の大きな転換のなかで進められている。連邦住宅金融庁(FHFA)は、住宅ローンの引き受けに暗号資産を活用することを検討しており、デジタル通貨が主流の金融システムに統合される動きが進んでいる。ByteFederalのサービスは、暗号資産と法定通貨のコンプライアンスに準拠した橋渡し役を果たすことで、税制や流動性といった主要な課題に対処している。同社は新築住宅と海外の購入者に注力しており、フロリダの活況な不動産市場と暗号資産の普及拡大を取り込む事業体制を整えている。