企業の総資産におけるデジタル資産比率が50%を超えた場合、MSCIグローバル・インベスタブル・マーケット・インデックス(GIMI)から除外する──。 MSCIが提示したこのルール案は、財務戦略としてデジタル資産を保有することを主たる活動とする企業に向けられたものだ。これに対し、Bitcoin For Corporations(BFC)は加盟企業と連携し、強く反発している。
彼らの主張は明確だ。この提案は、バランスシート上の保有資産のみを優先し、実際の事業活動(オペレーション)を軽視することで、事業会社を誤って分類しているという点にある。
「保有資産」か「事業実態」か
「MSCIは長年、企業を『何を保有しているか』ではなく『何をしているか』で定義してきたはずだ」。BFCマネージング・ディレクターのジョージ・メハイル氏はそう指摘する。「単一のアセットクラスのためだけに、その原則を放棄している。株主の承認を経た財務上の決定が、事業会社としての実態を覆す理由にはならない」
BFCはこの提案に潜む、3つの構造的な欠陥を挙げた。
- 第一に、収益を生む事業活動ではなく、資産構成に基づいて「主要事業」を再定義している点。
- 第二に、他の資産クラスには適用されない基準をデジタル資産にのみ課す、アセットクラス間の中立性の欠如。
- 第三に、インデックスへの採用可否がボラティリティの高い市場価格に左右される点だ。これは構成銘柄の予期せぬ、かつ頻繁な入れ替えを招くことになる。
この提案が強行されれば、パッシブ運用の資金流出や資本コストの上昇を招き、企業は事業パフォーマンスとは無関係な市場変動リスクに晒されることになる。BFCは警告とともに、閾値による除外案の撤回を強く求めた。あくまで事業内容に基づいた分類を維持し、資産クラス間の中立性を保つべきだ──そう市場参加者との対話を促している。
1/ JUST IN: @BitcoinForCorps (BFC) is formally calling on MSCI to withdraw its proposed 50% digital-asset exclusion rule.
The proposal directly affects how operating companies are treated in global indexes.
Here’s everything you need to know: 🧵👇 pic.twitter.com/mfBCML5AgW
— Bitcoin For Corporations (@BitcoinForCorps) December 8, 2025
運用会社Striveも参戦、石油・金鉱山との矛盾を指摘
声を上げたのはBFCだけではない。ヴィヴェック・ラマスワミ氏が共同設立した資産運用会社、Strive Asset Management(ストライブ・アセット・マネジメント)もまた、ビットコイン保有比率50%超の企業を除外する案の再考をMSCIに求めた。
同社は先週、MSCIのヘンリー・フェルナンデスCEO宛の書簡において、米国会計基準(GAAP)と国際会計基準(IFRS)の違いにより、一貫性のない結果が生じるリスクを警告している。
7,500BTC以上を保有し、上場企業として世界14位のビットコインホルダーでもあるStriveは、50%という閾値を「正当性がなく、あまりに広範で、実行不可能」と切り捨てた。同社の幹部は、ビットコインを財務資産とする企業の多くが、AIデータセンターやストラクチャード・ファイナンス、クラウドインフラといった「実業」を営んでいる事実を強調する。
彼らが引き合いに出したのは、エネルギー企業や金鉱山会社だ。膨大な石油埋蔵量や金を保有していてもインデックスから除外されないにも関わらず、ビットコインのみを特別扱いするのは筋が通らない。
市場のボラティリティやデリバティブへのエクスポージャー、会計上の差異。これらが絡み合えば、インデックス採用の予見性は失われる。さらにStriveは、厳格すぎる規制がイノベーションを海外へ流出させ、国際的な競合他社に不当な優位性を与える懸念も示した。
MSCIによる最終決定は2026年1月15日に予定されている。Striveの介入は、事業実態に基づく分類と資産クラスの中立性を求める業界全体の声を、より強固なものにしたと言えるだろう。
ストラテジーへの影響と反論
本件で最も大きな影響を受けると目されるのが、ストラテジー(Strategy)だ。大胆なビットコイン準備戦略で知られる同社とその会長マイケル・セイラー氏は、主要株価指数からの除外懸念に対し、真っ向から反論している。アナリストらは、もし除外されれば数十億ドル規模のパッシブ資金流出が引き起こされると警鐘を鳴らす。
セイラー氏は強調する。「我々はファンドでも持株会社でもない。5億ドル規模のソフトウェア事業と、77億ドル相当のビットコイン担保クレジットプログラムを持つ事業会社だ」
同社は単に資産を保有しているだけでなく、ビットコインを裏付けとした金融商品の組成・運用を能動的に行っている。MSCIの提案は、こうした「ビットコイン・トレジャリー・カンパニー」としての新たな企業形態を否定しかねない動きであり、業界は固唾を呑んでその行方を見守っている。
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