ホワイトハウスのデジタル資産大統領諮問会議において執行役員を務めるパトリック・ウィット氏。彼がYahoo Financeのインタビューで見せたのは、単なる政策解説ではない。米国がビットコインという「新たな戦場」で主導権を握るための、冷徹かつ情熱的なビジョンだ。
ウィット氏が今、最も心血を注いでいるのが、暗号資産市場の構造を定義する「CLARITY Act(透明性法案)」の成立である。
昨年、下院を通過したこの法案は、現在、上院という高い壁に挑んでいる。商品先物取引委員会(CFTC)の管轄領域では進展が見られるものの、証券取引委員会(SEC)が絡む条項については、上院銀行委員会での調整が続く。
「我々は極めて真剣だ」
ウィット氏はそう繰り返し、ステーブルコインの利回りや預金流出といったデリケートな課題に対し、ホワイトハウスが主導してステークホルダーと膝を突き合わせて議論を尽くしていることを明かした。
Great joining @YahooFinance this morning to discuss the status of the CLARITY Act. There are trillions of dollars in institutional capital on the sidelines waiting to get into this space. Regulatory clarity is the unlock. 🔓 https://t.co/7sGga1rmmG
— Patrick Witt (@patrickjwitt) February 13, 2026
国家がビットコインを「備蓄」する時代へ
法案によるルール作りは、あくまで片輪に過ぎない。ウィット氏が見据えるもう一つの主戦場、それは政府自身のビットコイン保有だ。
かつてのような無秩序な売却によって、数十億ドル規模の潜在的利益を失う時代は終わった。大統領令に基づき、現在は資産の不用意な現金化を阻止し、管理体制を一本化するプロセスが進行している。
さらにウィット氏は、公費を毀損することなく政府の保有量を増やす手法にも言及。シンシア・ルミス上院議員らが提唱する、政府によるデジタル資産管理の法制化を見据えている。 「議会が首を縦に振れば、直接購入による『国家備蓄』の積み増しも現実味を帯びてくる」 その言葉には、ビットコインを米国の戦略資産として位置づけるという、不退転の決意が滲んでいた。
ゲートが開くのを待つ「数兆ドル」の巨龍
ウィット氏が描く未来図は、あまりに壮大だ。 「数兆ドルもの機関投資家マネーが、ゲートが開くのを今か今かと待っている」
インタビュー後、同氏は自身のX(旧Twitter)でもこの言葉を引用した。規制という「霧」が晴れれば、銀行も暗号資産企業も、確信を持って一歩を踏み出せるようになる。J.P.モルガンのような金融界の巨人が、ビットコインの世界で主役を演じる日は、そう遠くない。
上院での審議は山場を迎えている。最後に同氏が遺した言葉は、単なる希望的観測ではなかった。
暗号資産法案の整備と、政府によるビットコイン管理の強化。この二つの歯車が噛み合ったとき、ビットコインは真の意味で「制度化」され、米国の覇権を支える新たな柱となる。
道は、これしかない。