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ステーブルコインでは救えない——命を守るビットコインの本質

ビットコインとステーブルコインは、しばしば同列に語られる。しかし、経済崩壊や政治的抑圧の中で人々が頼るのは、ただの「安定」ではない。命を守るために必要なのは、国家にも銀行にも止められない“本物の自由”だ。ビットコインには、ステーブルコインには決して持ち得ない力がある。

8年前、筆者はテクノロジーの「売り込み方」についての本を執筆した。そこで伝えた最も重要な教訓は極めてシンプルだった――懐疑的な相手を説得するには、単に「より良い」では足りず、「唯一無二に優れている」ことを示さなければならないということだ。

それから数年後、筆者が人道的危機におけるビットコインの役割を訴えるようになったとき、この教訓はより切迫したかたちで再び浮上した。懐疑的な友人たちはこう尋ねた。「ステーブルコインでも同じことができるのでは?」「ビットコインの何がそんなに特別なんだ?」

その答えは理論上の話ではない。アブジャ(ナイジェリア)の抗議デモ、カラカス(ベネズエラ)の停電、そしてカブール(アフガニスタン)で少女たちが密かに通う地下学校――こうした現場にこそある。そこでは、銀行口座を持てない17億人、高インフレやハイパーインフレと闘う2億5000万人、そして権威主義体制下で暮らす23億人が日々の生存をかけた戦いを続けている。

こうしたストーリーが西側メディアのアルゴリズムに乗ることは稀である。代わりに、ビットコインETF(上場投資信託)などのニュースが優先され、発展途上国の「生存のための金融戦線」は見えない形で「シャドーバン」されている。

しかし、そうした世界の現実を少しでも覗けば、ビットコインが単に重要な存在ではなく、「唯一無二に」重要であることが見えてくる。ステーブルコインやその他の暗号資産では、決して代替することができないのだ。

ステーブルコインではなくビットコインの採用が進んでいる3つの国を取り上げ、その理由を見ていこう。

ナイジェリア:安定よりも主権が優先される国

背景:人口2億2300万人のうち、約9500万人が1日1.90ドル未満で暮らしており、2025年4月時点でインフレ率は23.71%学校に通っていない子どもは1800万〜2000万人、安全な飲み水へのアクセスがあるのはわずか30%にとどまる。

ナイジェリアでは2024年、経済と政治の両面で深刻な混乱が起きた。現地通貨ナイラ(naira)は急落し、2023年初頭には1ドル=460ナイラだった為替レートが、2024年8月には過去最安値となる1ドル=1643ナイラにまで下落。これにより、国民の貯蓄や購買力は著しく損なわれ、政府への信頼も大きく失われた。インフレや燃料費の高騰に対する抗議デモが広がった背景には、政府の経済運営の失敗と、それを食い止めるための政策の欠如に対する国民の怒りがある。

かつては安定していた時期もあったナイラの急落は、輸入にドルを必要とする経済構造の中で、家庭や企業の生活を直撃した。国民の不満は一層高まり、政治的不安定さも増していった。通貨価値の下落、金融アクセスの制限、そして社会不安という三重の危機の中、ナイジェリアの人々は従来の金融システムに代わる手段を模索し始めた。そのひとつが、ビットコインをはじめとする暗号資産だった。

しかし、政府は市民がそうした代替手段に頼ることを容易には認めなかった。ナイジェリア政府は、特にステーブルコインの利用を厳しく制限した。ステーブルコインとは、米ドルなど法定通貨と価値を連動させることで価格の安定を保つ暗号資産の一種である。政府はこうした措置の理由として「不正資金の流通」、つまりマネーロンダリング対策を掲げたが、実際にはステーブルコインが通貨代替手段として機能し、資本規制を迂回させることで、中央銀行による金融政策の統制力を弱めることを警戒していた可能性が高い。

このようにして、国家の通貨主権を守ろうとする政府の方針と、経済的に生き延びようとする市民の間に深い溝が生まれている。

たしかに、ビットコインも一部では金融政策を損なう存在として見なされる可能性がある。しかし重要な違いは、ビットコインが非中央集権的(分散型)であるがゆえに、ナイジェリア政府がその利用を効果的に制限することができなかったという点である。

ナイジェリア政府がとった具体的な対策は、主に以下の3つに分類される。

  1. 銀行規制と米ドル供給不足

    銀行口座との接続(オンランプ・オフランプ)を必要とするUSDT(テザー)などのステーブルコインは、KYC(本人確認)を要求する取引所を経由する必要があった。しかし、銀行への規制や外貨不足によりこの手段は大幅に制限され、ステーブルコインの利用は困難になった。その結果、銀行の管理を回避できるP2P(ピア・ツー・ピア)型のビットコイン取引が急増した。ユーザーは自らのウォレットや分散型取引所(DEX)を活用し、中央集権的な金融システムを迂回したのである。

  2. 規制強化と法的取り締まり

    ナイジェリア政府は、USDTを無許可で取引していた業者を訴追するなど、法的措置を講じた。また、暗号資産取引所Binanceに対しては「搾取」「ナイラの価値を下げた」「マネーロンダリングに関与した」などと非難し、広範な取り締まりを行なった。

  3. プレミアム価格と価格変動の問題

    こうした規制圧力や外貨不足の影響で、ステーブルコインは正規レートよりも高い「プレミアム価格」で取引されるようになり、実用性が低下した。一方、ビットコインは中央の発行者や銀行インフラに依存せず、自律的に動作するため、こうした価格の歪みに左右されにくかった。

これら3つの対策――銀行規制、法的取り締まり、そしてプレミアム価格と価格変動――はいずれも、ステーブルコインには大きな打撃を与えたが、ビットコインへの影響は比較的軽微であった。ステーブルコインは中央管理者、銀行ネットワーク、KYC準拠の取引所への依存が強いため、国家による介入の対象になりやすい。実際、USDTの取引が一時的に混乱したことからも、それは明らかである。

それに対し、ビットコインは分散型かつパーミッションレス(非許可制)な構造であるため、P2Pプラットフォームや個人ウォレットを通じて政府の制限を回避することが可能であり、ナイジェリア国内での普及を持続させることができた。

アフガニスタン:タリバン政権下でビットコインが命綱となった理由

背景:タリバンによる支配が続くアフガニスタンでは、女性の多くが銀行口座を持たず、通貨(アフガニ)の価値は2021年から2022年にかけて約50%下落した。国民の85%が1日1ドル未満で生活し、就学年齢にある少女や若い女性のおよそ80%が学校に通えていない。

2021年8月、タリバンがアフガニスタンの政権を掌握すると、制裁の影響により銀行システムが事実上崩壊した。特に女性を中心とした多くの市民にとって、従来の金融サービスへのアクセスは断たれ、極めて限られた選択肢しか残されなかった。送金手段として使われていた「ハワラ(Hawala)」と呼ばれる伝統的なネットワークは、5〜20%という高額な手数料を課しており、中央銀行の外貨準備が凍結されたことで米ドルへのアクセスもほぼ不可能となっていた。

そのような経済的空白の中で、ビットコインは生存手段として重要な役割を果たすようになった。2021年には、Bitcoin Magazine が「女性たちがビットコインのシードフレーズ(秘密鍵)を最後の金融的防衛線として守っている」と報じている。2022年、タリバン政権が暗号資産の使用を禁止した後も、P2Pによるビットコイン取引は地下で密かに続けられた

なぜ危機下でビットコインはステーブルコインより有効だったのか

ステーブルコインは、中央管理者やドル建ての銀行ネットワークに依存しているため、アフガニスタンのような特殊な環境ではその機能が大きく制限された。アメリカによる経済制裁により、アフガニスタン中央銀行の70億ドルにおよぶ資産が凍結され、ステーブルコイン(たとえばUSDT)に必要なドルの流動性が遮断されたのである。

Forbes India によると、給与支払いにステーブルコインが使われた一部の事例は確認されたが、多くのアフガニスタン人にとっては実用性がなかった。さらに、法定通貨との交換が制裁により困難となり、2021年11月にはタリバンが外国通貨の使用を禁止したことで、アクセスの道はさらに狭められた。

これに対し、ビットコインは再びその真価を発揮した。分散型かつパーミッションレスな設計により、取引が凍結されることもなく、本人確認(KYC)によってユーザーの身元が晒されることもない。グローバルなネットワーク上で運用されるビットコインは、どの国の政権によっても完全に停止させることができない。

つまり、ステーブルコインが既存の金融システムとの結びつきによって足かせとなっていたのに対し、ビットコインは中央の干渉を受けず、直接かつ偽名性を保ったまま価値を送受信する手段を提供したのである。

ベネズエラ:欠乏が“安定性”を凌駕する

背景:ベネズエラの通貨ボリバルは、2018年以降に99.99%もの価値を失った。国民の76%が1日1.90ドル以下で暮らし、2014年以降、経済崩壊と政情不安により770万人以上が国外に脱出。5歳未満の子どもの1割以上が、慢性的な栄養失調によって発育障害に苦しんでいる。

カラカスで整備士として働くカルロスは、自分の生活を「ボリバルの有無」で測っている。というよりも、ボリバルが存在しないことのほうが重要だと語る。2018年以降、ベネズエラの通貨は99.99%もの価値を失った。カルロスのような人々は、ステーブルコインではなくビットコインを使って資産を守ってきた。ボリバルが止まることのない下落を続ける中で、彼らにとって暗号資産は、生き残るための必須ツールとなっていた。

政府は厳格な資本規制を導入しており、たとえ何らかの手段で米ドルを得たとしても、それを銀行口座に送金することすら困難である。

このような環境下で、カルロスのような人々にとって、ビットコインはまさに金融的な命綱となった。一方で、米ドルと連動するステーブルコインは、実は思われているほど“安定”していなかった。なぜなら、米ドル自体が2020年以降で18%の購買力を失っているからである。

そう、通貨の超絶な価値下落という現実を身をもって体験してきたカルロスのような人々は、西側の多くの人々よりも早く気づいていた。ステーブルコインは本当の意味で安定しているわけではないということに。

ステーブルコインという名称は、一見すると「安全な避難先」のように聞こえる。米ドルに価値が連動しているため、その印象はなおさら強い。しかし、それはあたかも、中規模の岩に船の錨を打つようなものである。もちろん、何の錨もなく暴風に晒されるよりははるかにましだ。ボリバルのような超インフレ通貨の嵐を一時的に避けることはできる。

だが、時間の経過とともに、ドルという岩もゆっくりと動く。結果として、ステーブルコインの保有者もまた、逃れたはずのインフレの海にじわじわと引き戻されていくことになる。米ドルの購買力が下がることで、ステーブルコインの価値も同様に蝕まれていくのだ。

ベネズエラが教えてくれるのは、ナイジェリアと同じ教訓である。ハイパーインフレに蝕まれた経済では、「ゆるやかな価値の減少」のほうが、ボラティリティ(価格変動)よりもはるかに致命的なのだ。

権威主義体制における政府のステーブルコイン流動性への攻撃手法

アフガニスタン、ナイジェリア、ベネズエラにおける事例は、決して特殊なものではない。世界中の権威主義体制において、政府はステーブルコインを単に「嫌う」だけでなく、計画的かつ体系的にアクセスを遮断する措置を講じている。

こうした抑圧的な戦略は、大きく6つの類型に分類される。以下に、実際の事例を挙げながらそれぞれを解説する。

  1. ステーブルコインの取引禁止提案(例:ブラジル

    ステーブルコインによる取引や支払いを違法化する法案や政策提案。たとえ未施行であっても、市場参加者に対する強い抑止力となる。

  2. 銀行インフラの遮断(例:中国

    法定通貨と暗号資産をつなぐ「オンランプ/オフランプ(入出金経路)」を遮断することで、ステーブルコインや仮想通貨の流動性を凍結する措置がとられる。中国では、理論上はビットコインも規制対象だったが、分散型であるビットコインは実際には規制しきれなかった。ロイター通信は「繰り返されるビットコイン禁止令は、抜け道を封じたり、関連取引を特定する困難さを浮き彫りにしている」と報じている。

  3. KYC(本人確認)の徹底(例:香港

    ステーブルコイン取引に対し、厳格なKYCを義務づけることで、監視体制の強い国々では利用者を萎縮させ、排除する効果を生んでいる。

  4. 国家主導のハッキング(例:北朝鮮

    国家が関与するサイバー攻撃により、ステーブルコインの準備資産を奪ったり、プラットフォームへの信頼を損ねる動きも存在する。こうした攻撃は、単なる資金窃取ではなく、市場そのものへの威圧として機能する。

  5. ライセンス制度による締めつけ(例:ロシアの規制案

    ステーブルコインの発行元や関連プラットフォームに対し、厳格な認可制度を導入し、事実上の営業制限を課す。これにより、国家にとって「都合のよい」事業者のみが生き残る構造がつくられる。

  6. 監視と逮捕(例:中国のOTC市場摘発

    店頭取引(OTC)など非公式なステーブルコイン流通経路に対し、徹底した監視を行い、関係者を逮捕・処罰する。これにより、市民が自由に金融手段を選ぶ権利が実質的に剥奪される。

 

命綱としてのビットコイン:なぜこの6つの戦術は効かないのか

ステーブルコインとは異なり、ビットコインは中央発行者や単一の管理主体に依存していない。そのため、政府による規制、ハッキング、強制停止といった干渉が通用しない。ビットコインは、いかなる国家の手にも届かない形で運用されているのである。

ビットコインの分散型ネットワークは、マイナーやノードによって世界中で構成されており、単一障害点が存在しない。圧力をかけるべきCEOも、取引を遮断できる中央の仲介者も存在しない。ステーブルコインであれば、発行元が政府の命令で取引を凍結することも可能だが、ビットコインはP2Pで直接送受信されるため、従来の金融インフラにある「ボトルネック」を完全に回避できる。

ウォレットは個人の手元で管理され、プライバシーが保たれる。マイナーは国際的に分散されており、ネットワーク自体が検閲耐性を前提に設計されている。

政府がステーブルコインを規制するのは比較的容易だが、ビットコインに対してはそうはいかない。その構造自体が、国家による干渉を拒絶する仕組みとなっている。

たとえばロシアは、2022年のウクライナ侵攻以降、西側の制裁を回避するためにビットコインなどの暗号資産を利用する方向を模索してきた。SWIFT(国際送金ネットワーク)からの排除や外貨準備の凍結といった措置に対抗するため、国家主導の中央集権型暗号資産取引所の構想が持ち上がり、国際間決済の手段として暗号資産を活用しようとしている。

一方でロシア中央銀行は、USDT(テザー)などの外国産ステーブルコインに対する制限を強化している。2025年5月18日、CoinTurkは、ロシア当局が国内におけるUSDTの利用を制限し、政府が管理するステーブルコインの導入を推奨していると報じた。これは資本流出を防ぎ、マネーロンダリング規制に対応しつつ、安全保障と整合する“友好的”なデジタル資産の利用を推進する動きと一致している。

なぜこのように「両立」させているのか。それは、ビットコインを国際的な制裁回避の手段として活用しつつ、国内では外部に依存するステーブルコインを排除するという、巧妙な二重戦略である。USDTのような米ドル連動型ステーブルコインは、発行元であるTether社がウォレットを凍結できるなど、外国政府の影響下にあるため、国家主権を重視する国にとってはリスクともなり得る。

資本規制を強化したい権威主義体制の政府にとって、ビットコインは「アンチフラジャイル(抗脆弱)」な存在であり、ステーブルコインはそうではない。それが、この二者の本質的な違いなのである。

オルトコインという蜃気楼

ステーブルコインがビットコインの代替にはならないことは明らかである。では、その他のオルトコインはどうだろうか?

結論から言えば、オルトコインも十分な代替にはなり得ない。XRP、Solana、Ethereumといった中央集権的なオルトコインは、ステーブルコインと同じ「致命的な欠陥」――依存性――を抱えているからである。開発者が取引を巻き戻すことが可能であり(例:2016年のイーサリアムDAO事件)、バリデーターがウォレットを凍結できる仕組みもある。また、供給量に上限のないオルトコインが多く、これは法定通貨の価値希薄化と同様の問題を引き起こす。

こうした失敗は、単なる運用ミスではなく、構造的な欠陥に根ざしている。たとえば、ナイジェリアが2024年に暗号資産取引所バイナンスを禁止した際、Solana上で発行されたUSDC(米ドル連動ステーブルコイン)を使っていたユーザーは資産を動かせなくなった。一方で、ビットコインの利用者は分散型取引所(DEX)であるHodlHodlなどに移行し、引き続き取引を継続することができた。

この事例が示すように、ビットコインをステーブルコインやオルトコインが「代替」できないのには、以下のような共通した理由がある。

  • インフレ対策には「希少性」と「価値の基軸」が必要だが、ステーブルコインにはそのどちらも欠けている。米ドルに連動しているとはいえ、米ドル自体が購買力を失いつつあるからだ。
  • ナイジェリアのような米ドル不足の国では、ステーブルコインの価格が実勢よりも60%以上高騰することもあり、信頼できる手段とは言いがたい。
  • 政治的リスクも無視できない。政府はビットコインを直接禁止することは困難だが、ステーブルコインの流動性や関連インフラには容易に介入できる。

最後に、最も重要なポイントを挙げたい。権威主義体制下の人々は、ビットコインの価格変動を恐れていない。むしろ、「主権を守る手段」としての機能が、短期的な価格の揺らぎを上回る価値を持つからこそ、彼らはビットコインを選んでいるのだ。

ステーブルコインは取引のためのツールにすぎない。しかし、ビットコインは「生き抜くためのツール」である。

特権という近視眼

ステーブルコインがビットコインの代替になり得るという前提は、「安定した通貨」「機能する民主主義」「堅牢な銀行システム」という恩恵に囲まれた近視眼的な視点から生まれている。だが、こうした恩恵は、世界の多くの人々にとって無縁である。権威主義体制のもとに暮らす23億人、そして高インフレまたはハイパーインフレと闘う2億5000万人にとって、それは遠い現実だ。

西側諸国のコメンテーターたちは、自らの特権に守られた視点から「ステーブルコインで十分だ」と語る。しかし、実際には、たとえばナイジェリアのアブジャでは、USDTのアカウントが凍結されるだけで、家族の全財産が一夜で消えることがある。また、カブールでは、KYCを前提とするステーブルコインは、8割の女性を金融システムから排除している。

西側のメディアアルゴリズムは、こうした現実を「ニュース価値がない」として扱わず、事実上の“シャドーバン”を行っている。それが情報格差と認識の断絶をさらに深めているのだ。

この現実に目を向けている人々――つまり、物語をつくる側にいる人々に問いかけたい。自分のスマートフォンの銀行アプリの外にある世界を見てみてほしい。なぜナイジェリアのP2Pビットコイン取引量がフランスを大きく上回っているのか、なぜアフガニスタンの難民たちはテザーを信用する代わりにビットコインのシードフレーズを記憶しているのか、その理由を考えてほしい。

それこそが、現場の声であり、統計データが裏付ける「例外ではない」現実である。ビットコインは、ステーブルコインでは代替できない形で、切実なニーズに応えている。ステーブルコインやオルトコインは、すでにグローバルサウスで機能していないシステムの中で、部分的な「改善」を試みているにすぎない。ビットコインは、その外側に存在している。

より良い結論を導くには、無意識の前提ではなく、知的な好奇心から始めるべきである。ビットコインの価値は、ステーブルコインを置き換えることにはない。ステーブルコインには本質的に不可能なことを実現できる――そこにこそ価値がある。

自分たちの現実を、他者の現実に投影するのはやめよう。そして、耳を傾けることから始めよう。

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