Homeコラムアメリカの対中関税戦争は、ビットコイン・マイニングにとってよいことだ

アメリカの対中関税戦争は、ビットコイン・マイニングにとってよいことだ

トランプ大統領による関税政策は、アメリカのマイニング企業がASICを輸入する際のコストを上昇させることになる。そして、それはよいことである。

2025年4月9日、中国はアメリカへの輸出品に対する関税を現在の34%から84%へ引き上げると発表した。これは、トランプ大統領がアメリカから中国への輸出品に対する関税を104%に引き上げると表明したことへの報復措置だ。

中国による対米関税の引き上げにより、アメリカに拠点を置く上場ビットコイン・マイニング企業にとってASIC(ビットコインをマイニングするための高性能専用機器)の購入コストが大幅に上昇することになる。これらのASICは、その大半が中国で製造されているのだ。

しかし、これはビットコイン・マイニングのエコシステム全体の健全性にとって、大いに有益となるだろう。

トロイ・クロス(Troy Cross)氏が「Bitcoin Magazine」に寄せた記事『The Future Of Bitcoin Mining Is Distributed(ビットコイン・マイニングの未来は分散型)』で見事に説明しているように、ある一国がビットコインのハッシュレート(ネットワーク全体のマイニング処理能力)を過度に支配してしまうと、ビットコインの中核的価値のひとつである検閲耐性が危機にさらされる。

同記事の中でクロス氏は、もしビットコイン・ネットワークのハッシュレートの大部分がアメリカ国内で、しかも上場企業によって生産されている状態になると、アメリカ政府はそれらの企業に対して「OFAC準拠のブロック(制裁対象となる取引を含まないブロック)」だけをマイニングするよう圧力をかける余地が生まれると指摘している。

こうした政府の命令に対しては企業側が抵抗したり無視したりするのではないか、と考える向きもあるだろう。しかし、米国最大の上場ビットコイン・マイニング企業であるマラソン・デジタル・ホールディングス(Marathon Digital Holdings)は、すでにOFAC規制に従う意志があることを実際の行動で示している。

ビットコイン・ネットワークが検閲耐性を維持できる可能性は、ハッシュレートが世界中に分散しているときにもっとも高まる。

クロス氏が最近行なわれた以下のインタビューで述べているように、ビットコインはほかの新興技術とは異なり、その周辺産業がある一国に集中しても恩恵を受けるわけではない。

クロス氏は、この考え方が必ずしも直感的ではないこと、また「すべてのビットコインをアメリカ製にしたい」と宣言するトランプ大統領の支持者層にとっては理解しがたいだろうことを認めている。

ビットコイン・ネットワークにおいては、各国がネットワーク上で相応の割合を担うのが望ましいが、その割合が50%を超えることは避けるべきだ。

そして、前述のインタビューでクロス氏は、アメリカがすでにネットワークのハッシュレートの50%以上を支配している可能性があるとの見解を示している。

しかし、今回の中国による対米関税引き上げを受けて、この傾向は今後逆転し始める可能性がある。なぜなら、アメリカの上場ビットコイン・マイニング企業に比べて、その競合他社(米国外の民間マイナーなど)はより安価でASICを調達できるようになるからだ。

つまり、関税戦争の激化は、さまざまな観点から大きな不安を呼び起こすものかもしれないが、ビットコインにとっては好ましい結果をもたらす可能性もある、という点に目を向けてみてもよいだろう。


本記事は、寄稿者によるコラム「Take」です。記事内に述べられた意見は、完全に筆者個人のものであり、BTC IncやBitcoin Magazineの見解を必ずしも反映するものではありません。

Author

Frank Corva
Frank Corvahttps://frankcorva.substack.com/
Frank Corvaは、Bitcoin Magazineの政治担当リポーターです。
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