1月29日、米国上院農業委員会は、僅差で賛否が分かれた党派投票の結果、12対11の票決で暗号資産市場に関する法案の委員会版を可決。包括的な暗号資産市場構造のルールを最終的に立法化しようとする議会の取り組みにおいて、画期的な出来事となった。
委員会に所属する民主党議員は、倫理規定、消費者保護、ならびに商品先物取引委員会(CFTC)の独立性をめぐる実質的な意見の相違を理由に、全員がこの動議に反対した。
ジョン・ブーズマン委員長(共和党/アーカンソー州)は審議の冒頭で、数カ月にわたる交渉と「実質的で礼節のある対話」を強調した一方で、「根本的な政策上の意見の相違」が依然として残っていることを認めた。
ブーズマン委員長は「いまこそ、このプロセスを前進させる時だ」と述べ、取引所、ブローカー、ディーラー、カストディアン(保管業者)を含むデジタル・コモディティ仲介業者に対する規制体制を、CFTCの監督下で具体化する必要性を強調した。
この議論は、1月21日に発表された農業委員会の更新版立法文書に基づくものであり、11月に示された超党派の協議草案および下院を通過した2025年のデジタル資産市場「CLARITY法案」を土台としている。
この法案は、デジタル・コモディティの現物市場に対する独占的な管轄権をCFTCに付与する一方で、証券に該当するデジタル資産については証券取引委員会(SEC)の管轄下に残すことで、米国におけるデジタル資産の規制のあり方をめぐる長年の問題に最終的な決着をつけることを目指している。
🇺🇸 米上院農業委員会、ビットコインおよび暗号資産の市場構造法案を委員会で可決。 pic.twitter.com/bSLw0j45Hz
— Bitcoin Magazine Japan (@BitcoinMagJapan) January 30, 2026
超党派による暗号資産への期待が委員会での議論を弱める
農業委員会の草案の初期バージョンはブーズマン委員長とコリー・ブッカー上院議員(民主党/ニュージャージー州)が共同で発表したものだったが、29日の修正審議では党派間の亀裂が露呈した。
ブッカー議員は同僚議員に対し、11月の超党派による草案作成は「上院議員時代を通じてもっともよい経験のひとつだった」と振り返りつつ、共和党がクリスマス休会後に超党派のプロセスを放棄したと主張した。
「はっきり言っておくが、今日われわれの前にあるこの案は、われわれが取り組んでいた超党派の草案ではない」と、ブッカー議員は述べた。
上院の筆頭理事のエイミー・クロブシャー議員(民主党/ミネソタ州)は、民主党は「これまでの進展」を支持するとしながらも、特に公務員の倫理規定や消費者保護の強化など、重要な課題が未解決のままであると強調した。
民主党提出の修正案は否決
委員会では、民主党主導による複数の修正案が否決された。大統領、副大統領、連邦選出公職者、および特定の家族が在任中に暗号資産から利益を得ることを禁じ、対象となる資産をブラインド・トラスト(白紙委任信託)に預けることを義務付ける倫理重視の修正案は否決された。
また、暗号資産ATMの詐欺防止策、暗号資産仲介業者の破産保護、消費者保護策の拡大などを扱った民主党案も可決されなかった。
アダム・シフ議員(民主党/カリフォルニア州)は倫理面に関する懸念を改めて表明し、すべての連邦政府職員を対象とする文言を盛り込むよう求めた。
エリッサ・スロトキン議員(民主党/ミシガン州)は、ドナルド・トランプ大統領在任中にトランプ一族が暗号資産から金銭的利益を得たとされる報道に言及し、同様の条項が過去の民主党政権を対象としていたなら、共和党の反対はより強かったはずだと非難した。
数々の議論があったにもかかわらず、会議は審議開始からおよそ1時間後に投票で締めくくられた。
シンシア・ルミス上院議員はこの審議の結果を歓迎し、「デジタル資産市場構造法案が(上院農業委員会で)可決されたことを嬉しく思う。これで、この法案を(大統領の)机に届けることに、また一歩近付いた。米国を世界のデジタル資産の中心地にするために、引き続き超党派で同僚議員と緊密に協力していきたい」と、 Xに投稿した。
今後はどうなるのか?
先は長く、手続き的にも困難な道のりとなる。法案は正式に報告され、上院の議事日程に組み入れられた後、指導部による議事日程決定、議事妨害の可能性、本会議での修正案審議、そして、60票の討論終結のハードルを経て、上院で単純多数で可決される必要がある。
上院銀行委員会もまた、ステーブルコインの利回りやトークン化といった物議を醸す問題を含む法案の審議に取り組んでいる。
マークアップ(修正審議)の遅れや、ウォール街のロビイストを含むさまざまな利害関係者を満足させる妥協点を見いだす努力によって、その進捗は鈍化している。
たとえ上院委員会で進展があったとしても、昨年7月に下院が前進させた包括的なCLARITY法案と擦り合わせる必要がある。そのため、両院協議会を通じて調整された後、上下両院で最終的な賛否投票が行なわれ、大統領の机に送られることになる可能性が高い。
一方で、ホワイトハウスは、トランプ大統領とそのチームが公職者が個人的に暗号資産から利益を得ることを制限する主要条項に反発するなか、暗号資産業界、銀行、共和党、民主党、そして政権側の立場を調整するために、来週に別の会合の開催を予定している。