米財務省は、10人と1社を制裁対象に指定した。偽の身元や偽造書類を使い、北朝鮮が外国の雇用主——その多くは米国企業——から賃金を受け取るのを手助けしたとしている。
こうした労働者は通常、架空の人物になりすまして正規の企業に送り込まれる。AIで生成した履歴書や加工した写真が使われることもあれば、面接でディープフェイク映像が使われることもある。
賃金の大半は北朝鮮政権へ戻り、財務省によると、政権はその資金を大量破壊兵器と弾道ミサイルの開発計画に充てている。一部の労働者は企業ネットワークへのアクセスも得ており、そこでマルウェアを仕込んだり、企業独自のデータを持ち出したりしている。
北朝鮮の 不正を 支える 資金と 暗号資産
今回の制裁が焦点を当てたのは、労働者本人よりも資金を動かす人物だ。措置の中心にいるのはロシア国籍の2人である。
財務省が北朝鮮の金融取引の仲介役と説明するヴィトルド・オベルタス氏は、2025年1月以降、北朝鮮の当局者のために、200万ドル近くの暗号資産の交換と、少なくとも125万ドルのその他の通貨による送金を扱ったとされる。
イリヤ・ボイコフ氏は、米国が2024年に制裁対象に指定した北朝鮮のIT労働者企業Alisのために、350万ドル相当の暗号資産を交換したとされる。
北朝鮮国籍のキム・ギヒョク氏とキム・ヒョドン氏も、ロシアを拠点とする労働者の派遣団を率いていたとして指定された。キム・ギヒョク氏は2024年以降、自身のチームのために50万ドル近くの暗号資産を移したと伝えられている。
財務省はまた、ロシアで活動する北朝鮮支配下の団体First Financial and Technical Development Centerと、2025年以降に同団体のために75万ドル超を稼ぎ出した労働者6人も制裁対象に指定した。
財務省は、制裁対象の個人に関連するイーサリアムとトロンのウォレットアドレスを公表した。取引所やその他の金融機関に対し、これらのアカウントに注意するよう促すシグナルだ。イーサリアムのアドレスの1つは、オベルタス氏とボイコフ氏の双方に紐づいている。
今回の措置は、3月に別の北朝鮮IT労働者ネットワークを制裁対象に指定したのに続くものだ。オーストラリアと欧州連合(EU)も今月、関連する制裁指定を発表しており、財務省は今回の措置を多国間制裁監視チーム(MSMT)と連携して進めた。
制裁により、これらの個人・団体が米国内に保有する資産、または米国人の管理下にある資産はすべて凍結され、財務省外国資産管理局(OFAC)への報告が必要となる。許可を得ない限り、これらの対象者との取引は原則として禁止され、凍結対象者が50%以上を保有する企業にも同じ制限が適用される。財務省は、違反が意図的でなかった場合でも民事制裁金が科されうると警告した。
リモートの業務委託者を雇う企業に向けては、国務省、財務省、司法省とFBIによる勧告が、こうした手口を見抜くための指針を示している。本人確認や支払い先の確認、通常と異なるアクセス要求への警戒などだ。





