Tether International社は、ソフトバンク社が保有していたTwenty One Capital社の株式の全持分を取得した。Twenty One Capitalはジャック・マラーズ氏が共同設立したビットコイン・トレジャリー企業であり、Tetherは今回の買収によって、この1年間で登場したもっとも注目度の高い上場ビットコイン関連企業のひとつに対する支配権を固めたことになる。
この取引は5月20日(米国時間)に発表された。これにより、Twenty One Capital創設当初からの3社連合構成における最後の主要な外部株主ブロックが解消されることになる。Twenty One Capitalの株主契約条項に基づき、ソフトバンク側の取締役は取引完了時点で退任した。なお、取引金額は公表されていない。
Twenty One Capitalは、Cantor Equity Partners社との事業統合を通じて2025年4月に設立され、創設スポンサーであるTether、Bitfinex、ソフトバンクの3社は、それぞれ一株10ドル換算で株式と引き換えにビットコインを拠出した。
設立当初、Tetherは約2万4000 BTC、ソフトバンクは約1万500 BTC、Bitfinexは約7000 BTCを拠出すると見込まれており、同社は4万2000 BTC超を保有した状態で上場する構想となっていた。これは当時世界第3位のビットコイン・トレジャリー企業となる水準であり、84日間の平均ビットコイン基準価格ベースでは企業価値は36億ドル相当と推定されていた。
さらに上場前には、Tetherが約4億5870万ドル相当となる4812 BTCを追加投入し、その時点での保有量は3万6312 BTCへ拡大した。
ソフトバンクの離脱によって、Twenty One Capitalは、複数組織による連合型ビークルから、実質的にはTetherの公開型ビットコイン事業運営部門へと変化することになる。
これは単なる資本構成の変更ではなく、構造的転換である。かつて3社の投資機関によって支えられていた企業が、今後はほぼ全面的にTetherのバランスシートと戦略方針に依存するかたちとなる。
TetherのCEOであるパオロ・アルドイノ氏は、ソフトバンクが同社の設立初期に果たした役割に謝意を示しつつも、今回の買収を「新たなフェーズの始まり」と位置付けた。同氏は声明で、「彼らは、より強固な基盤、より明確な使命、そして野心的な未来への道筋を備えた企業を残してくれた」と語った。
ビットコイン・トレジャリーを超えて
その「道筋」は、単なるビットコイン備蓄戦略をはるかに超えるものとなりそうだ。2025年4月、Tetherは、マラーズ氏率いるビットコイン決済企業のStrike社と、ビットコイン・マイニング事業を行なうElektron Energy社との合併を提案している。
この統合が実現すれば、ビットコイン・トレジャリー、決済および金融サービス、さらにマイニング・インフラが単一の企業傘下に置かれることになる。それにより、Twenty One Capitalは単なるバランスシート上のビットコイン取引企業から、統合型のビットコイン保有企業へと変貌を遂げることになる。
Twenty One Capitalは、マイケル・セイラー率いるストラテジー社に対抗する存在として自らを位置付けており、従来型の収益指標ではなく、「Bitcoin Per Share(一株当たりビットコイン保有量)」や「Bitcoin Return Rate(ビットコイン収益率)」といったパフォーマンス指標を採用している。