日本の国会は7月15日の参院本会議で、暗号資産の取引規制を資金決済法から金融商品取引法(FIEA)の枠組みに移行する「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」を可決した。これにより、ビットコインおよびその他の暗号資産は、日本の決済制度の枠組みから切り離され、株式、債券、投資信託を規制する法制度の枠組みに組み込まれることになる。
日本ではこれまで、暗号資産は資金決済法の下で「決済手段」として扱われてきたが、今回の改正によって、「金融商品」として再分類され、従来型の有価証券を規制する金融商品取引法(金商法)の枠組みに組み込まれる。
この改正案は、ビットコインをはじめとする暗号資産を単一の投資家保護基準の下に置くものだ。改正法は1年以内に施行され、2027年度中の実施を目標としている。
日本における暗号資産の新たな監督権限
内閣は4月にこの措置を改正法案として閣議決定した。その後、法案は衆議院財務金融委員会で可決、参議院での審議に回されていた。15日の採決によって、この改正法案は正式に法律として成立した。また、暗号資産の譲渡益に対する最高税率を55%から一律20%へと引き下げる税制改正も正式に承認されており、2028年から適用される予定だ。
今回の法改正は、日本における暗号資産の監督のあり方を根本から大きく変えるものとなる。暗号資産は「金融商品」として位置付けられることにより、インサイダー取引規制の対象となる。この規制では、暗号資産の発行体や取引業者、その他の非公表情報にアクセスできる関係者が、トークンの上場、上場廃止、重大な技術的問題などの事象に先立って取引を行なうことが禁止されている。
暗号資産取引業者には、新たな情報開示義務も課される。プラットフォームは、取り扱う各トークンについて、発行体、ブロックチェーン設計、およびボラティリティプロファイル(価格変動特性)に関する情報を公開しなければならない。この基準は、証券会社に課せられている情報開示義務と同様のものだ。また、規制当局は暗号資産業界全体に対する市場監視権限についても、より幅広い権限をもつことになる。
改正法の下では、違反に対する罰則も強化される。無登録の暗号資産事業者に対する拘禁刑の上限は、現行の3年以下から10年以下に引き上げられる。また、罰金の上限も300万円以下から1000万円以下へと増額される。こうした罰則の厳格化は、暗号資産に関する不正行為を、有価証券詐欺と同等の重大性をもつものとして取り締まる姿勢を示すものだ。
ビットコインETFと減税への道
今回の再分類は、法令遵守にとどまらない、ふたつの重要な影響をもたらす。第一に、現物ビットコインETF(上場投資信託)への道が開かれる。金融商品取引法は、投資信託などのファンドが保有できる金融商品の範囲を規定しているため、暗号資産がその適用対象となることで、日本の資産運用会社が規制に準拠した現物ビットコインETFをローンチできなかった構造的な障壁が取り除かれることになる。
第二に、税制改革への道が開かれる。日本では、暗号資産の譲渡益は「雑所得」として課税され、税率は最高55%に達し、主要市場のなかでも特に高い課税水準となっている。国会は、この最高税率を株式譲渡益に対する税率と同水準の一律20%に引き下げる税制度改正を承認した。この税率引き下げは、2026年度税制改正大綱に基づくものであり、2028年から適用される。
こうした改革は、日本がWeb3推進策を加速させるなかで実施されるものであり、同時に規制当局は、証券会社に求められている自己資本や準備金に類似した準備金要件を暗号資産取引業者にも課すことを検討している。日本の暗号資産取引所ではユーザー口座数が増加しており、国内の暗号資産関連企業は、より幅広い個人投資家層の取り込みに向けて体制を整えつつある。
日本は長年にわたって、世界の暗号資産業界から「先進的でありながら慎重な規制を行なう国」と見られてきた。その日本における今回の法改正は、暗号資産を正当な金融資産として位置付ける決定的な転換点となる。
かつて暗号資産規制のモデルケースとされていた日本は現在、デジタル資産を自国の資本市場と本格的に統合しようとしている。この決定は、他の国や地域にも同様の対応を促す可能性がある。