モルガン・スタンレーが2026年4月にローンチした現物ビットコインETF「MSBT(Morgan Stanley Bitcoin Trust)」が、運用開始から約1カ月で約1億9,400万ドル(約304億円)の純流入を記録したことが明らかになった。
SoSoValueおよびThe Blockによると、MSBTは4月8日の上場以降、日次ベースで純流出となった日は確認されておらず、17営業日で純流入、5営業日で横ばいという推移を見せている。Bloomberg ETFアナリストのエリック・バルチュナス氏は、この初月パフォーマンスを「ETFローンチの中でも上位1%級」と評価している。
現在のMSBTの運用資産残高(AUM)は約2億4,000万ドル超、保有ビットコインは約2,620 BTCとされる。規模としては、BlackRockのIBIT(約670億ドル)やFidelityのFBTC(約155億ドル)には及ばないものの、新規ETFとしては堅調なスタートとみられている。
低手数料と販売網が初期流入を支える
MSBTの特徴のひとつが、年率0.14%という低い手数料設定だ。これは現時点で主要現物BTC ETFの中でも最低水準とされ、IBIT(0.25%)、Bitwise(0.20%)、Grayscale Mini(0.15%)を下回る。
加えて、市場ではモルガン・スタンレーの巨大な顧客基盤にも注目が集まっている。同社は約9.3兆ドル規模の顧客資産ネットワークを持ち、ETF販売力という点でウォール街でも有力な存在だ。
同社デジタル資産部門の責任者は、Bitcoin 2026関連イベントで、初期流入の大半がself-directed(自己判断型)顧客によるものだったと説明している。これは、現時点では主に自発的に暗号資産投資を行なう顧客が中心であり、アドバイザー経由での本格販売はまだ限定的である可能性を示唆する。
そのため、今後モルガン・スタンレーのアドバイザー販売網が本格稼働した場合、追加流入余地があるのではないかとの見方も出ている。
一方で、MSBTの規模は依然として現物BTC ETF市場全体から見れば小さい。米現物BTC ETF市場全体のAUMは約1,090億ドル規模に達しており、IBITがその大半を占める構図が続いている。
また、「日次流出ゼロ」はあくまでネットベースの数値であり、解約が全く発生していないことを意味するわけではない。同日に流入が流出を上回れば、統計上は純流入として計上されるためだ。
それでも、ウォール街大手銀行系ETFが比較的低コストで市場シェア獲得を狙う動きは、現物BTC ETF市場において価格競争と販売網競争の双方が本格化しつつあることを示す事例として注目されている。