金曜日のプレマーケットで、MARA Holdingsの株価は13%もの急騰を見せた。第4四半期、17.1億ドルという天文学的な純損失を叩き出しながらも、投資家はその「数字」よりも、同社が打ち出した「AI(人工知能)およびハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)への転換」という未来に賭けたのだ。
2025年度第4四半期の純損失は17.1億ドル。前年同期の5億2,830万ドルの黒字から一転、暗雲が垂れ込める結果となった。米証券取引委員会(SEC)への提出書類によれば、売上高は前年同期比6%減の2億230万ドル。ネットワークハッシュレートの上昇による増分を、ビットコイン価格の下落が食いつぶした形だ。
この巨額赤字の主因は、15億ドルにのぼるデジタル資産の評価損である。ビットコイン価格の下落に伴い、フェアバリュー(公正価値/時価評価)会計ルールに基づき保有資産を下方修正せざるを得なかった。帳簿上の数字が市場の荒波に翻弄される――これはビットコインを大量保有する企業が背負う、避けては通れない宿命といえるだろう。
2025年通期で見ても、純損失は13.1億ドルに達した(前年は5億4,100万ドルの黒字)。しかし、通期売上高は前年の6億5,640万ドルから9億710万ドルへと着実に拡大しており、事業規模そのものは拡張を続けている。
第4四半期のマイニング実績は2,011 BTC。前年同期の2,492 BTCから減少し、通期でも8,799 BTC(前年9,430 BTC)と、半減期後の厳しい現実が数字に刻まれている。12月末時点の保有量は53,822 BTC。当時の時価(1BTC=87,498ドル)で換算すれば、その価値は約47億ドルに及ぶ。過去半年間、ビットコインの価格変動と半減期後の経済性に圧迫され、同社の株価は約45%下落していた。
MARAが描く「AI」への青写真
決算発表と同時に、MARAは「純粋なビットコインマイナー」からの脱却を宣言した。エネルギーとデジタルインフラを支える企業へと、そのアイデンティティを再定義しようとしている。
同社はStarwood Digital Venturesとの合弁事業を発表。安価な電力と送電容量を確保した戦略的拠点で、AI・HPC特化型のデータセンター開発に乗り出す。初期フェーズで1ギガワット(GW)超、将来的には2.5GWまで拡張する構えだ。プロジェクトはサイトごとに構造化され、経済合理性が保たれる限りビットコインマイニングを継続しつつ、MARAは最大50%の持分を保持する。
すでに今月初めには、フランス電力(EDF)傘下のExaionの株式64%を取得。政府や企業向けにAI・HPCソリューションを提供する同社のノウハウを手に入れ、マイニング一本足打法からの多角化を加速させている。
この動きはMARAに限った話ではない。マイニングの利益率が削られる中、CipherやBitfarmsといった競合も、膨大な電力インフラをAIへと転換させる「ピボット」を急いでいる。エネルギーを「価値」に変える新たな戦場は、もはやビットコインのネットワーク内だけには留まらない。