ウォール街のビットコイン強気派は、最近の市場の下落を受けて、短期的な目標価格を引き下げている。しかし、彼らの長期的な見通しは揺らいではいない。暗号資産のもっとも有力な支持者のひとつであるスタンダード・チャータード銀行は、12月9日に発表したレポートでビットコインの予測価格を半減させた。
同行は現在、ビットコインが2025年末までに10万ドルに到達すると見ており、これは以前の20万ドルの予測から引き下げられた。また、2026年末までに15万ドルに達すると予想している。
一方、50万ドルという長期目標は維持されたものの、達成時期は2028年から2030年に延期された。
今回の下方修正は需要構造の変化を反映している。以前は大きな牽引役であった企業トレジャリーとしての購入は減退し、ETF(上場投資信託)への資金流入も鈍化している。
スタンダード・チャータード銀行のデジタル資産調査部門のグローバル責任者であるジェフリー・ケンドリック氏は、企業の積極的なビットコイン蓄積は「終焉を迎えた」と分析している。
ケンドリック氏は「今後の価格上昇はひとつの要因のみによって牽引される」 と述べ、その要因とはETFへの資金流入だと指摘している。また、彼は幅広い売りではなく、調整局面でのレンジ相場を予想している。
Bernstein(バーンスタイン)社のアナリストも同様の見方を示しており、ブルームバーグの報道によると、同社はビットコイン価格が2026年末に15万ドル、2027年末までに20万ドル近くに達すると予測している。
同社は2025年内の20万ドルの高値到達予想を撤回したものの、ビットコインはもはや従来の4年周期に縛られていないと主張。アナリストは機関投資家の参入が市場の耐久性を高めていると指摘している。
これらの予想修正は、価格が乱高下する厳しい局面の中で出されたものだ。ビットコインは10月の最高値12万6000ドル超からすでに30%近く下落している。
現物ビットコインETFは12月8日に6000万ドルの純流出を記録した。ブラックロック社の iShares Bitcoin Trustは11月に約23億ドルの流出となり、月間償還額としてはローンチ以来最大となった。
この流出額は同ファンド資産の約3%に相当する。Bernsteinは、ETF全体の資金流出額は依然として運用資産の5%未満に収まっていると指摘。ETFの保有株の大部分は依然として個人投資家が保有しているが、機関投資家の保有比率は 28%に上昇しているという。
ビットコイン価格の反発
こうした予測にもかかわらず、12月9日(米国時間)ビットコインは4%以上上昇して9万4640ドル付近に達し、取引量は460億ドルに増加。価格が7日ぶりの高値を付けたことで時価総額は約1兆8600億ドルに達した。
機関投資家の勢いも継続しており、Twenty One社(XXI)は4万3500 BTC以上を保有してニューヨーク証券取引所(NYSE)のオープニングベルを鳴らし、PNC銀行は米国の大手銀行として初めてプライベートバンクの顧客に直接現物ビットコイン取引を提供し、バンク・オブ・アメリカはデジタル資産への限定的なポートフォリオ配分を推奨した。
また、投資家たちは、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待や、ビットコインのサイクル底値がすでに過ぎた可能性を示唆するキャシー・ウッド氏の発言など、好材料となるマクロ経済のシグナルを評価している。
本稿執筆時点で、ビットコインは9万4000ドル付近で取引されている。